2026/09/09

投稿日 2026/09/09

CKD患者に帯状疱疹ワクチン打つと全死亡率下がる論文にletter書いた




スミヨシです。


生きてます!

もう、内科医になろうだなんて人に言えなくなってきてますが引き続きよろしくお願いします。


さて、先日Xで帯状疱疹ワクチンのアウトカムが強すぎて話題になってました。

正直、どの論文もかなり強いデータおよびモデルを出したなと思いました。


ただ、その中でCKD患者への帯状疱疹ワクチンがあまりに数字が強すぎるのでいじってやろうと思い読んでみました。


Recombinant zoster vaccine and risk of kidney failure, cardiovascular, and mortality in patients with chronic kidney disease

(Hypertens Res. 2026 Online ahead of print.)


米国の大規模電子カルテデータベースTriNetXを用いた後ろ向きコホート

50歳以上のCKD患者
RZV(シングリックス)接種者13,218人 vs 非接種者13,218人をpropensity score matchingで比較

Primary outcome末期腎不全への進行または透析導入
secondary outcomes心血管イベントと全死亡

中央値3.0年の追跡で、RZV接種群では非接種群と比較して、

腎イベント:HR 0.63(95% CI 0.57–0.70)
心血管イベント:HR 0.74(95% CI 0.68–0.80)
全死亡:HR 0.51(95% CI 0.48–0.54)

また、2回のワクチン接種を完遂した患者では、より大きなリスク低下がみられた。

気になったところ

クソつよデータですね!
まあ、言うまでもなくhealthy-vaccinee effectが強すぎな結果と思います。
さすがに打っただけでハードアウトカム改善しすぎですし。


healthy-vaccine effectはワクチンを打てるというだけでそもそも打たない人よりすでに健康な集団だから、ワクチンの効果が実際以上によく見えるということです。

極端な話、もう今週中にでも看取りになりそうな患者さんにはワクチン打たないと思います。
それゆえ非接種群はこういった状態の悪い患者を多く抱える傾向になるはずです。

ですがもちろんそんなことは筆者もわかってるわけです。
だから色んな調整をしたり、 limitationにつらつらと書き記したりするわけです。

ただ、limitationに書いていないところなどで気になる点がいくつかありました。


① Landmark期間を延ばすほど、RZVの「効果」が弱くなっている

RZV接種者で、

腎イベント:HR 0.63
心血管イベント:HR 0.74
全死亡:HR 0.51

とかなり大きなリスク低下です。

ですが、通常このセッティングではimmortal time bias / guarantee-time biasが生じます。
「2回接種群に分類するために2回目まで生存する必要があり、その期間まで2-dose群の曝露時間として扱った」わけですので。
もう詳しい説明は各自AIに聞いてください!!!!

で、この論文ではその対策として、CKD診断後のgrace periodを変えたlandmark analysisも行ってます。

サプリメンタルの記載ですが、

Primary analysis
→ 腎 0.63、心血管 0.74、死亡 0.51

2-year landmark
→ 腎 0.76、心血管0.94、死亡 0.71

てな感じで、3つのoutcomeがそろってnull方向へ動いてます。
これはtime-related selectionが寄与していた可能性があるなあという所感です。

ただ、landmark periodを変えることは解析対象集団も変えることなので、これだけでbiasを証明することはできないと思います(チャッピーからそう教えてもらったです、あぶないあぶない)。

② 「2回接種の方がさらに予後が良い」は、そのままdose-responseとは言えない


1-dose:1回目を接種し、その後2回目を接種しなかった患者
2-dose:1回目から1年以内に2回目を接種した患者
と筆者は定義してます。

2回接種者は特に死亡リスクが低く“indicating greater benefit with full vaccination”と、2回接種完遂による利益を示唆しています。

でも①とかぶりますが、2-dose群に入るには

2回目の接種時点まで生存している
and
その間も医療との接点を維持し、2回目を受けられる状態にある
必要があります。


つまり、

2回接種したから予後が良かった
or
予後の良い患者ほど2回目まで到達できた

か悩ましいわけです。

でもこっちは悩んでるのに本文のlandmark analysesは、少なくとも記載上は「RZVあり vs なし」で、1 dose vs 2 dosesを直接処理してなさそうでした。


vaccination doseをtime-varying exposureとして扱う
2回目接種可能時点に合わせたlandmark analysisを行う。
などの対応が必要と思います。

③ 腎イベントのカウント

本文ではbaselineでESRD(N18.6)、dialysis dependence(Z99.2)の患者を除外してます。

primary kidney outcomeはESKDへの進行または透析導入なんですがサプリメンタルのoutcome definitionには透析関連のCPT/HCPCS procedure codesも含まれてます。

これらがindex前の除外にも使用されたのかがわかりません。

index前にkidney-event codeを持つ患者が、primary time-to-first-event analysisではcomplete composite outcome code setを用いて除外されていたのかを明確にする必要があります。
でもこれは記載の問題の可能性もあって本質的ではないです。


で、これらを基にletter記載しましたが

無事rejectでした!!
無念!!

まあlimitationにいっぱい書いてますからねえ。。

正直書いてるうちに自分が考えた文章かチャッピーが作った文章か分からなくなることもあったのでちょっとAI怖くなりましたねー。
てかチャッピーに読み込ませたら全論文letterかけるんじゃね?とすら思いました。
マジでやろうかな。

なんにせよ僕は帯状疱疹ワクチン推奨派ですからこういういいデータ出たときは黙ってた方がいいんですが、あまりにデータ良すぎて100年ぶりに論文よみました。
次は22世紀に会いましょう。

ではまた。

結論:原著書けずにletter書くことを郵便屋さんと自虐してたけど、郵便屋さんは手紙書くのではなく届ける人という指摘があったので今後ははがき職人に改名します。