2024/02/28

投稿日 2024/02/28

低アルブミン血症に対するセフトリアキソンは治療失敗リスクをあげる?

スミヨシです。

最近めっちゃいそがしいです!!!!!!!!
勉強してられません!!!!!!!!!

先日低アルブミン血症に対してのセフトリアキソンがチームで話題になりました。
個人的にはそんなにリスク高くないのかなあ、なんて思っている次第でした。

今日Xをみると、こんなのを見つけました。



なんとタイムリーなのでしょう。
読んでみました。



(Antimicrob Agents Chemother.2024 Feb 27:e0166323. )

Mayo Clinicからと思います。
米国の後ろ向きコホート研究。

低アルブミン血症はセフトリアキソンの薬物動態に影響を与えるし、肥満患者も薬物クリアランスが高い
(Clin Pharmacokinet. 2011;50:99-110. )
(Antimicrob Agents Chemother.2022;66:e0218921.)

肥満患者において低アルブミンのある患者とそうでない患者はセフトリアキソンによる治療失敗が多いのでは?という研究


方法

肥満患者 137人のうち、セフトリアキソン 1回2g 1日2回を72時間以上使用した患者が対象の後ろ向きコホート

通常肥満群(BMI中央値46.5) 103名 vs 低Alb肥満群(BMI中央値49.5, Alb≤2.5g/dL) 34名

主要アウトカムは臨床的改善と微生物的改善の複合アウトカム
二次アウトカムは臨床的改善、微生物学的改善、入院期間、ICU滞在期間、死亡率、30日再入院、有害事象

結果
主要アウトカムは
通常肥満群 91.2% vs 低Alb肥満群 77.8% (p=0.038)

二次アウトカムで差が出たのは、臨床的改善(92%vs77.8% p=0.024)、入院中死亡(0% vs 13.5%, p<0.001)


で読んだ感想ですが、セフトリアキソン関係あるのかな?という点が気になりました。

筆者すらlimitationに
「低アルブミン血症によるセフトリアキソンの曝露不足の結果であるか、低アルブミン血症が病気の重症度のマーカーであるかは不明。(つまり、重症だから低Albなのかも)」
と書いています。

Charlson Comorbidity IndexやICU入室率は同等ですが、潜在的に低アルブミン血症になっている患者のほうがより重症度が高い、治癒率が悪い感染症の可能性はありそうでした。

また、無菌検体培養の陽性が通常群は62.1%に対して、低Alb群が76.5%
菌血症は通常群 22.9%低Alb群 32.8%、
⇀重症になりやすい、治療失敗しやすい感染症が低アルブミン群で多いうえに、比較群はそもそも感染症でない症例が多く入っているかも。
なんて感じです。

あと、最初に突っ込むべきでしたが、BMI40以上が対象です。。
日本で使えるのだろうか。。

個人的な結論としては明日からの診療にあまり影響しないかな。。

ちなみに、治療に有意差が出なかったという先行文献もあります。

興がのればletterを送ってみたいな、なんて思っています。
ではまた

※追記
Letterがのりました。


結論:明日からもみんな大好きセフトリものがたり!