2024/03/10

投稿日 2024/03/10

DLSTは数字の大きさも重要?



スミヨシです。


先日、某カンファレンスで、結核患者に抗結核薬を使用した際に皮疹が出現した、という内容のものがありました。

正直結核の治療してて皮疹が出ないことのほうが無いんじゃないかと思うくらい皮疹はcommonです。


で、DLSTを行ったようですが、その際のStimulation Indexの結果をふまえ

「この数字の大小でアレルギーらしいかどうか決めていますか?10000を超えるとさすがにヤバいですか?」

といった質問がでました。


正直、さあ????ってな感じで、誰も何も答えは無かったです。

というわけで調べてみました。


DLSTは数字の大きさも重要?

DLSTとSI

DLST:drug-induced lymphocyte stimulation test

日本ではお馴染みですが、これはローカル言語っぽい。


海外では多分 LTT:lymphocyte transformation test

の方が文献ひっかかります。


リンパ球幼若化検査において培養を行う間に増殖する細胞が取り込むH3-チミジンを、薬剤添加・薬剤非添加での測定値を比較する

この数字をStimulation Index(以下SI)と呼ぶ。

というわけで数字というのはこのSIを指すと思います。

施設によって検査結果にSIまで表示するかどうかは様々でしょうか。


理屈としては、原因薬剤に感作されたT細胞が増殖する程度をみており、SIが大きければそれだけT細胞が反応している、ということでしょう。

ただし、

① それがアレルギー機序による反応かは不明

② IgE抗体を介するI型アレルギーには有用ではないかもしれない(普通Ⅳ型アレルギーに使う、ですかね)

③ SIが低ければアレルギーを除外するわけでは無い

という点が注意です。


Lymphocyte transformation test: History and current approaches(J Immunol Methods.2021 Jun:493:113036. )

↑がよくまとまっていた、もといGoogle検索で上位にでてきました。

このレビューによると、

感度は軽症-中等度で58-89%、重症なら25-75%

特異度は軽症-中等度で93-100%、重症なら63-100%

いろんな研究が入っているからゴールドスタンダードもよくわからんし、なんともいえませんね。。


SIに関して

・海外では比表記、日本では%表記のことが多いらしい

日本のSI 10000(%)は海外のSI 100に相当

・日本ではSI 180%以上、海外ではSI>2を陽性とみなすことが多い



一応Xで探しましたが上記のものくらいしか見つかりませんでした。


薬疹の種類とSI



maculo-papular type of drug eruptions, (MP), SJS/TEN, DIHS, DRESS患者の経時的DLST
⇀MPやSJSは発症早期、DIHSやDRESSは発症から時間が経つとSIが高い傾向

薬疹の種類によって検査時期を考えようとするかは別だと思いますが。

もう一つ。



いろんな薬剤、薬疹によるSI
重症薬疹だからSIが大きい、という関連性はなさそう?

ちなみに著者は、βラクタム薬はSI≧3をカットオフにするよう提案しています。

なお、偽リンパ腫型と丘疹-紅皮症型はDLSTが陽性になりやすいという日本語の文献?もありましたが、理屈はわかるもののなんともいえず省きました。


私見

たぶん陽性か陰性かだけを考えておけばいいのではと思います。

もちろん、あくまで検査のカットオフだけを述べているので、実際にはSI値が高い方がより特異度が高いかもしれませんが。。
あと重症度には関連ないかもしれません。

ちょっと自信が無い結果ですが・・


ではまた。

結論:躍進とか活躍とかは皆読めるけど、「躍」だけみて即座に「やく」と読める人はこの世に存在しない。