スミヨシです。
内科外来をしていると漢方がフィットする患者さんがいて、ついつい気軽に使用したくなる場面もあります。
しかしながら、漢方もやはり薬ですので副作用が気になる点です。
で、昔 宮古島にいたときによくわからない肝障害を起こしている人を研修医に相談されて、漢方も原因になる、さらに黄芩:おうごんが原因になるよね、と当時の自分はアドバイスしたのを覚えています。
しかし今になって、この知識の出どころが一切不明で、自分はなぜそんなことを知っていたのかよくわかりません。
ロストナレッジですね。もしくはオーパーツ。
黄金スペースシャトル。
ひとまず本当にそうなのか調べてみました。
黄芩と肝障害
・北里大学の2000-2009年での漢方薬による肝障害21症例
⇀21例中19例が黄芩を含むものであった。
ちょっと極端かも?
・2014年11月から2015年10月に新規に黄芩を含む漢方を処方され採血データのある患者37名
⇀4人(10.8%)が肝障害
(Tokai J Exp Clin Med.2022;47:94-98.)
これらをみていると、AST/ALTが上昇するパターンも、胆汁うっ滞型パターンもいずれも呈しそうです。
劇症肝炎までいくものはなさそうでしたが。
・日本の医薬品の有害事象データベース(JADER)を用いて、薬剤性肝障害に関与する生薬を分析した研究
相対オッズ比の多かった生薬は、黄芩 (8.63, 7.97–9.35) 、山梔子(8.43, 7.49–9.49)、生姜(6.75, 6.23–7.32)、半夏(6.47, 5.87–7.12)
など。
(Pharmaceuticals (Basel). 2023; 16: 678.)
ここでも黄芩が多そうです。
黄芩を含む漢方薬
そういうわけで、肝障害を来す漢方には黄芩が含まれていることが多く、逆に黄芩の肝障害の頻度もそれなりにありそうです。
調べた範囲かつ私が目にしたことのあるものを集めてみました。
・黄連解毒湯
・柴胡清肝湯
・柴苓湯
・小柴胡湯
・大柴胡湯
・辛夷清肺湯
・清肺湯
・当帰散
・半夏瀉心湯
・防風通聖散
柴胡のはいっているものがちらほらありますね。
まあ実際こんなの覚える必要はなくて、薬剤性肝障害の患者が漢方を飲んでいたら黄芩が含まれるか調べる、といったところでしょう。
偽性アルドステロン症とムーブは同じかもしれません。
ではまた。
結論:GAROって絶対昔より黄金騎士感が増しすぎ