スミヨシです。
血液培養の報告の方法は施設によりけりかと存じます。
そんななかでも「らせん菌」は割と同定しづらく、とりあえずその情報だけで治療開始することにななることを経験します。
血液培養から検出されるらせん菌
これはもう私見のかたまりですが、血液培養から検出されるらせん菌は、
▼Campylobacter jejuni/coli
▼Campylobacter fetus
▼Helicobacter cinaedi
とりあえずこいつらでしょう!(私見)
他のはどうせ16sないと同定できないし(私見)
上記の菌の鑑別は発育温度とかセファロチンのはいってる培地とかあるんでしょうが割愛です。
仲のいい技師さんか感染症医にでも聞いてみてください(私見)
じゃあ、血液培養かららせん菌が検出された際に一番多いのはどの菌でしょうか。
これこそ施設によるかと思いますが、自分は研修医がいる環境で育ってきたので、一番多いのはCampylobacter jejuniかなあと思っています。
いわゆるカンピロバクター腸炎の起因菌です。
腸炎症状が前面にでればほとんど血液培養はとらないかと思いますが、カンピロバクターは割と発熱+頭痛→遅れて水様便がでる、という経過をとるので救急外来でよくわからなくて血液培養をとられていることがしばしばありました。そもそも若年者の発熱に血液培養がいるのかという問題がありますが。
まあ、正直Campylobacter jejuniの菌血症も臨床的には抗菌薬なしで改善することが多いし、免疫不全の患者さん以外ではそんなに困らないかなあと思います。
血液培養から「らせん菌」が検出されたときにエンピリック治療が必要なのはCampylobacter fetusもしくはHelicobacter cinaediを想定する場合でしょうか。
その場合も免疫不全患者などはCampylobacter jejuni/coliから目を離さないというスタンスになろうかと考えます。
Campylobacter fetus, Helicobacter cinaediは腸炎症状を前面にださないので、
「血液培養らせん菌」に関しては
患者背景と腸炎っぽいか確認
↓
そのあと蜂窩織炎がないか確認。
↓
なければ感染性動脈瘤や感染性心内膜炎、膿瘍をさがす。
そのうえでエンピリック治療になりますかねえ。
血液培養から「らせん菌」が検出されたときのエンピリック治療
結局のところ、感受性のわからない Campylobacter fetus, Helicobacter cinaedi, Campylobacter jejuni/coliに対して何を使うかという所になりますでしょうか。
自分は前所属の耳学問をそのまま流用し、メロペネムがよいと考えます。
対抗馬はABPCやCTRX、LVFX、MINOでしょうが、Helicobacter cinaediに対してはカルバペネム以外のβラクタムやLVFXがなかなか厳しいのと、fetusに対してのMINOとかデータすらなかなかないのでは、という感じです。
おそらくここは定まったものはなく、いろんな意見があると考えます。
だいたいは治療期間も長くなりますし、MEPM→感受性(というか阻止円)をみてde-escalationをできれば、という戦略がしっくりきてます。
まとめ(私見!!)
血液培養かららせん菌
↓
患者背景と腸炎っぽいか確認(腸炎ぽければ状態と背景次第でAZMいくか検討)
↓
蜂窩織炎がないか確認。
なければ(あっても?)感染性動脈瘤や感染性心内膜炎、膿瘍をさがす
まずは血管内感染と仮定して血液培養再検しつつ、MEPM
ではまた
結論:つい最近までJanne Da Arcの「rasen」はドイツ語と思い込んでて意味不明だった。