※2020/11/6 初回 2024/6/5 追記
久しぶりに過換気症候群に対する血液ガス検査を考える事があって、何か書こうとしたら昔の自分も同じこと書いてるのを見つけて再掲しました。
スミヨシです。
救急してると、たまに過換気症候群の方がいます。
過呼吸ってやつですね。
私は症状とSpO₂と、発症状況などから検査はせずに経過観察をすることが多いです。病院と患者層によりますが、大体経過観察になると思います。
ただ、結構研修医の先生は、上級医にコンサルトするため?に検査していることが多いなと思います。
血液ガスとってくれたりします。
もちろん、検査するのがだめ、なんてことはありません。
過呼吸の鑑別診断だけあげると、ACS、気胸、肺塞栓、甲状腺機能亢進、代謝性アシドーシス、敗血症など恐ろしい疾患・症候がラインナップされるかと思います。
有名どころではギランバレーがありますね。
なので、検査はどの疾患を除外するためにしたのかを必ず聞いています。
ありがちなのが、
「血液ガスをとったら、呼吸性アルカローシスでした。」
という感じで、なんにもマネージメント変わらないじゃん。みたいな。
そりゃ過呼吸だからアルカローシスでしょうよ。
じゃあ、その検査いる?って、老害と思われそうなことも言っちゃいます。。
血液ガスを見るのは、実は糖尿病性ケトアシドーシスがメインで高血糖を除外するためだったり、代謝性アシドーシスがメインであって、その代償に呼吸数が増えているのを除外した、とそういう発想が大事だと思います。
あとはAaDO2みてPEぽさがないかどうかとか。
ちなみに心因性の過換気症候群の血液ガスにおいて、動脈血液ガスのそれぞれの項目の中央値は、pH 7.47, PCO₂ 28.91,PO₂ 97.41, bicarbonate 22.2 という報告がありますので、乖離がある場合には少し注意かもしれません。
ともすれば、過換気セット、みたいな感じで、検査をするために検査をしているみたいなことをよくみます。
マネジメントが変わらないとしても、頭を回転させなきゃと思います。
研修医の脳がとろけないように、どの検査でどの疾患を否定しているのかは、常に意識させてあげなきゃいけないな、この前思いました。
個人的には、急性発症で、胸痛とかなくて、発症から30分くらいで改善傾向にあって、若年(おおむね40歳以下)で、徐脈や過度の頻脈、血圧低下がなくて、低酸素血症もないなら、検査せずに一旦、個室に移動。本人の希望あれば、付き添いのかたに見守ってもらいます(たまに、付き添いが親とか恋人で、その方とけんかして発症した過呼吸の方とかいるので、その場合には、別室でまってもらうこともあります。)
でも上記でも初回イベントなら血液ガスはとるかもしれません。
あと低酸素を伴わない興奮状態の患者もわりと見守ることが多い気がします。
※UpToDate®では過換気症候群の症状に胸痛が含まれています。
みんなどうしてるんでしょ。
UpToDate®みたら、治療にロラゼパム使うとか書いてるけど、そんなにマネジメントは載ってないし、過呼吸を熱く語る人もいないし、みんなそんなに困ってないし、て感じですよね。
一回だけ過換気と思ったら肺塞栓の人がいて、そこからピルを飲んでいるかどうかは女性みんなに聞いています。
じゃあ飲んでいると言われたときに、マネジメントを変えているかというと、そうでもないです。。
あと、過換気の方の採血で偶発的にみつかった低P血症でコンサルトがきたことがありました。
何か鑑別ありますか?
ないです!(たぶん!!!ないですよね?)
呼吸性アルカローシスはATP生成などの不思議な力で細胞内シフトを起こして一過性に低P血症になるので、別に介入不要です。
まあ、ほとんどの場合大丈夫ですけど、やっぱり落とし穴がある病態は意識してやらなきゃいけないですね。
すくなくとも過換気やしびれが改善していないのに帰宅、とするのはやめといた方がいいかな、とは思っています。
アルコール飲みすぎの急性アルコール障害と思っている意識障害とかも注意ですよねー。
とにもかくにも、脊髄反射で診療しないように心がけたいです。なるべく。
ではまた。
結論:エヴァのカヲル君みたいな、口づけペーパーバッグは禁忌です。