スミヨシです。
ESBL産生菌に対する内服薬って悩ましいですよね。。
レボフロキサシンが効けばいいですが、そうじゃないときとか。
オーグメンチンも、感受性Sになっていたとしてもそれは試験管内の話ですし。。
昔、クリニカ出版のINFECTION CONTROLという雑誌に、
「感染コントロールが落ち着いているなら、ST合剤、ホスホマイシン、ミノサイクリンが選択肢にはなりえるかもしれない。」
なんて書いたことがあるんです。(2020 vol.29 no.7 抗菌薬適正使用のポイント5)
ただ、書いといてなんですが、私自身はホスホマイシンで治療したことないんです。。
ホスホマイシンは感受性あればUTIの治療はできる?
多剤耐性腸内細菌に対するホスホマイシンの感受性を調べたメタアラライシス
ESBL産生E.Coliの96.8%(1604/1657)
ESBL産生K.pneumoniaeの81.3%(608/748)
以上で感受性あり。
また、この論文中で、ESBL産生E.coliの下部のUTIは93.8%が改善した、と。
(Lancet Infect Dis 2010;10:43-50)
ホスホマイシンは3g/dayなら保険適応があり、膀胱炎なら1回投与でよいかと思います。
日本と海外のホスホマイシンは違う。
海外の論文で出てくるホスホマイシンは、fosfomycin tromethamine
一方日本にあるホスホマイシンは、fosfomycin calcium
何が違うかというと、bioavailabilityが違いすぎです。
fosfomycin tromethamine vs fosfomycin calcium→40%vs12%
(J Infect Chemother 2016;22(5):273-80.)
ようするに、日本のホスホマイシンはそもそもみんなが知っているホスホマイシンではないので、よその臨床データ使えないです。。
まあ、実際bioavailabilityが低くても、尿路感染程度であれば尿中濃度高くなって、効果があるかもしれませんし、DU薬と呼ばれるような、第3世代セフェムも、肺炎の治療効果があることはわかってますし、絶対ダメ、てなことはないと思います。
ただし、ほかの選択肢があればまずはそっちでいいと思います。
STもだめ、キノロンもだめ、MINOもだめ、でも内服でいきたい、みたいなときのやむをえない選択肢ですかね。。
実は、今の職場では使用している先生いますし、なんなら改善してる症例もいそうなので、ちょっとホスホマイシンを見直しているところです。
でも自分ではだせないなあ。。
ではまた。
結論:下痢にホスホマイシンはいらない