スミヨシです。
ありがたいことに今年になってから、研修医の内科外来を指導するさせていただくことがあります。
teaching is learningとはいったもので、いざ教えるとなると、適当にしていた部分も勉強しなきゃなあという気持ちにさせてもらえます。
この前の症例の研修医の反応が印象的でしたのでまとめてみました。
※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
Eating Behaviors and Dietary Changes in Patients With Dementia
(Am J Alzheimers Dis Other Demen.2016;31:706-16.)
PubMedなどを用いて、認知症患者の食生活や食欲の低下について述べた論文をあつめてレビューしてみた、という内容です。
この認知症のパターンごとに食事摂取量の落ちる原因や、過食の特徴などが記載されている表が面白いなあと思っています。
臨床で使いづらい点は、日本の特徴かどうかわかりませんが、認知症の原因疾患まで特定されていることが少ないからです。
あと、「高齢者の甘いものの過食はピック病を疑え」というパールがありますが、これをみると認知症を伴うパーキンソンや、PSPでも見られるようですね。
この論文を研修医に共有したのは、単純にどのパターンの認知症でも食事摂取低下がみられることと、認知症の後期にその傾向が多くみられるという2点を示すためですね。
あとは似たような内容で「体重減少」や「やせ」を主訴に来院されることもあります。
認知症と体重減少について調べたメタアナライシスがあるので、それも参考でしょうか。
(Curr Alzheimer Res.2021;18:125-35.)
まとめ
研修医にとって、「食思不振」や「体重減少」の鑑別に認知症が意外と入らないかもしれない。
まあ、言語化できていないだけで、年齢重ねるとだれしも食事量おちる、というのは言わなくても分かっている事だとは思います。。
今回は丁寧に説明を行い、認知症のこともあるので病気探しはしないこととなりました。
入れ歯も問題なく、問診上は嚥下機能も問題ない、とのことで、評価も見送りました。ここは意見の分かれるところかもしれません。
ではまた。
結論:認知症関連の論文をもってきたときに研修医が喜ぶのをみたことがない。。。