スミヨシです。
心筋梗塞後のよくわからない発熱患者をコンサルいただいたことがあります。
その時に、
「Dressler症候群も鑑別にあがるのでは?」
という話題になりました。
実際には違ったのですが、そもそも鑑別に挙がってすらなかったので少し調べました。
Dressler's Syndrome
今は、Postmyocardlal Infarctlon syndrome / Postpericardlotomy pericarditisとか言うんでしょうか。(UpToDate®ではPost-cardiac injury syndromes)
特徴
・心筋梗塞後2-10週で発生する。
・持続的な低熱が出る。
・ 胸痛(胸膜炎性)がある。
・心膜炎が起こる(診察時に摩擦音が聞こえる)。
・通常は自然に解消する。
・コルヒチン、ステロイド、NSAIDsを用いて治療する。
治療に関して、UpToDate®では、
●アスピリン 1回750-1000mg 1日3-4回で開始し、3-4週間の治療。
毎週750-1000mg/dayずつテーパリング
●イブプロフェン 1回600-800mgを1日3-4回で開始し、3-4週間の治療。
毎週400-800mg/dayずつテーパリング
の記載。多分どちらか選択。
再灌流療法以前は心筋梗塞患者の1-5%にあった
201人の急性心筋梗塞後の患者で、発症者は1名であったがその患者は再灌流を受けていなかった。
(Cardiology. 1994;85(3-4):255. )
"Postpericardiotomy syndrome" 自体は心臓手術後に起きることが多い。
2005年から2014年の間に心臓胸部手術を受けたフィンランドの28,761人のうち、493人(1.7%)がPostpericardiotomy syndromeを発症した。
(J Am Heart Assoc.2018;7:e010269. )
もっぱら循環器内科ではなく、心臓血管外科の患者でみる疾患になったのかもしれません。
Dresslerは存在する?
Is Dressler Syndrome Dead?
(Chest.2004;126:1680-2. )
内容の真偽はさておき、Dressler症候群は再灌流にくわえ、ACE阻害薬やスタチン、β blockerによる影響も相まって「dead」したのでは?というもの
Dressler's syndrome: are we underdiagnosing what we think to be rare?
(BMJ Case Rep.2019;21;12:e227772. )
46歳男性の4日間続く胸痛と発熱
6週間前にARに対して開胸手術
この流れなのでDressler症候群の診断です。。
アスピリン・コルヒチンを投与したところ症状は改善した。
⇀近年減少してるので注意しましょう!とのこと。
まとめ(私見)
狭義のDressler症候群(心筋梗塞発症後2-10週で発生する胸膜炎)はおそらくPCIの影響でほとんど見なくなった。
広義の、"Postpericardiotomy syndrome" をDressler症候群が含むのならば、それほど多くは無いが稀に発生しうる。
心臓血管外科のいる病院での発熱コンサルを行っている人は知っておいてもよいですね。
ではまた。
結論:ドレスラーを検索すると「土レスラー」とかいうグラブルの土属性パーティのおすすめ編成が邪魔をしてくる