以前、ある病院のある患者のカルテで、
「血液培養からCandida albicansとKlebsiella pneumoniaeが検出。複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的。尿培養は陰性。腹腔内感染の検索を行う」
という内容の記載をみかけたことがありました。
まあ腹腔内感染の検索を行うというのはやぶさかではないのですが、それよりも
「複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的」
が気になりました。そんなの聞いたことないけど、かといって多菌種感染の頻度とか言えないなあ、と思ってしらべました。
CRBSIにおける多菌種感染
ひとまず、皆大好きUpToDate®を調べると、さっそく載っていました。
Tunneled hemodialysis catheter-related bloodstream infection (CRBSI): Epidemiology, pathogenesis, clinical manifestations, and diagnosisの、MICROBIOLOGY AND PATHOGENESISに以下記載がありました。
"Gram-positive organisms are responsible for most hemodialysis catheter-related infections. Coagulase-negative staphylococci and S. aureus together account for 40 to 80 percent of cases in most studies [4,22,28-32]. Gram-negative organisms account for 20 to 40 percent, and polymicrobial infections are implicated in 10 to 20 percent of all episodes of catheter-related bloodstream infections (CRBSIs) [4]."
というわけでCRBSIの10-20%は多菌種感染ですね!
完
元文献は有料で、大学で見れませんでした。。
Dialysis catheter-related bacteremia: Treatment and prophylaxis
円安の時代にちょっと論文買ってまで見る気しないですね。。
すいません。。
透析カテーテルのデータのようですが、まあ、通常のCVにも外装していいデータだと思っています。
ちなみに他のものとしては、
・在宅CRBSIの58.6%がpolymicrobial
・外来でCV挿入されている小児の菌血症の37%がpolymicrobial
・小児ICUのCRBSIの48%がpolymicrobial
なんて感じでした。
小児だと少し複数菌感染多いのでしょうか。
いずれにせよ、「複数菌でありカテーテル関連血流感染は否定的」といっていいpopulationはあまりなさそうな印象です。
自分としては、
・代替診断の無い状況で、複数菌菌血症であることを言い訳に、カテーテル感染を否定する(抜くべき場面でカテを温存する)のはよくない。
・ドレナージできるかもしれない病変がある状況での複数菌菌血症を、カテーテルのせいにするのはよくない
なんて思った次第です。
まとめ
CRBSIは割と複数菌感染のことがある。
Candida生えてるしカテ抜こうと言ってよさそう!
ではまた。
結論:「catheter」って「カテーテル」じゃなくて「キャスィター」みたいな発音じゃないかと最近疑い始めている。