2022/01/30

投稿日 2022/01/30

E型肝炎について

スミヨシです。

急性肝炎って、病歴も大事ですが、採血してみないとわからないこともおおいと思います。
で、大都会札幌で育った私は、自然と「肝炎検索採血セット」にE型肝炎が入っていました。

京都にきて、肝炎を診たときに、

HEV出す?出さない?

で実はこっそり悩んでいました。
京都にゼロとはいわないですけど多分必要ないですよね。
これって北海道で医学をたしなんで本州に来た内科医あるあるだと思います。

そういうわけで、一回はE型肝炎についてまとめてみます。

E型肝炎

IDWR 2004年第13号


E型肝炎ウイルスによる肝炎
原則急性で、慢性化はしない
糞口感染で潜伏期は2-10週間、平均6週間

大きく、4つの遺伝子型
HEV genotype 1,2 ⇀水系感染
HEV genotype 3,4 ⇀人獣共通感染

基本的には水、衛生、衛生、医療サービスへのアクセスが制限されている低中所得国での感染が多い。

イノシシ、シカ、豚(特にレバー)の喫食がきっかけになる。
国内では北海道の症例が多い。
(北海道は多分イノシシは少ないけど、豚が多い。シカも食べるけど、シカからの感染がどれくらいかは不明)

札幌市HPより抜粋
2016年 全国 356例 北海道 107例(うち札幌35例)
2020年 全国 449例 北海道 83例(うち札幌27例)


実は沖縄も多いが、とくに西表が突出して多い。
多分、イノシシ猟の影響。
(沖縄県住民へのE型肝炎ウイルス感染経路の推定:沖縄県衛生環境研究所報 第43号(2009))


輸血感染も報告がある。
そのため北海道の輸血はE型肝炎がスクリーニングされている。
※日本全体でも2020年8月からスクリーニングをされている
(Japanese Journal of Transfusion and Cell Therapy.2020;6(3):531-7.)

症状

発熱、吐き気、腹痛、嘔吐、食欲不振、倦怠感、肝腫大など、肝炎の一般的な症状
黄疸も40%で出現
(Clin Microbiol Rev.2014;27(1):116-38.)

劇症型の場合もあり、特に妊婦は死亡のハイリスク
(Ann Intern Med.2007;147(1):28-33. )

検査

日本ではHEV-IgAが保険適応。
陽性ならPCR

治療

対症療法
劇症型では肝移植も。

免疫抑制患者では慢性化も指摘されている(6か月以上血液or糞便からHEV-RNA検出)
⇀リバビリン600-1000mg 12週間
(J Viral Hepat.2016;23(2):68-79. )

予防

流行地域では手洗い、清潔の保証がない飲料水、氷、非調理あるいは加熱不十分な肉類、貝類を喫食しない。

加熱
食品の中心部を75°Cで1分間以上又はこれと同等の加熱
(厚生労働省が、飲食店、家庭等で食品を加熱調理する場合に推奨)

中国にはワクチンがあるが、日本では使用できない。


まあ、国内で出会ってもほぼ対症療法かと。
北海道や西表島、石垣島で内科をやるなら、是非検査の検討を。
ではまた。

結論:感染症勉強するとスナック菓子くらいしか食べられなくなる。