2024/04/23

投稿日 2024/04/23

vagal nerve stuimulator(迷走神経刺激療法) systemの感染

スミヨシです。


迷走神経刺激療法をご存じでしょうか。

いわゆる難治性てんかんに対する、非薬物療法です。



(https://www.mayoclinic.org/tests-procedures/vagus-nerve-stimulation/about/pac-20384565)


どうやら迷走神経に直接電極をとりつけ、刺激することでてんかんの頻度と程度を抑えることができるようです。

「2年間の治療後に発作が50%以上減少した患者さんの割合が約50%」みたいなのが日本の病院のHPに書いてあったりします。


で、これが感染した時どうするのか、というのが少し困ったので調べてみました。


vagal nerve stuimulator system感染について

みんな大好きUpToDate®を調べてみました。

"Vagus nerve stimulation therapy for the treatment of epilepsy"のページに感染のことが載っています。

2-7%で感染がおこることとStaphylococcus aureusの感染が多いようですが、cardiac implantable electronic devicesのページをみろ!ってな感じでさらっとしています。

とりあえず抜去が必要っぽいなあとだけわかります。

そして血管内デバイスではないので、除去できたならそこから2週間の治療、ということになるでしょうか。


抜去しない場合

VNS自体のコストの問題や侵襲度の問題があり、抜去しない治療も選択されるようです。

もちろん、ここに明確なマネージメントは存在しないとは思いますが調べてみました。



Management of vagal nerve stimulator infections: do they need to be removed?


VNS systemを挿入した191人のうち、10人(5.2%)が感染していた。
9人がS.aureus 1人は起因菌不明
そのうち7人が温存療法→2人がそのあとも抜去せずに治療可能であった。

治療失敗した症例も、長期抑制療法に持ち込んだようですが、それぞれ3.5か月、4.5か月、16.5か月後に抜去せざるをえなかったようです。

筆者の主張としては、最初セファレキシン内服でいった症例は失敗した、だから点滴でいくべきだ、ということでよくわからないアルゴリズムが載っています。
ここでは省略しますが。。
とりあえずわかったのは
・起因菌は黄色ブドウ球菌が多い
・抜去しなくてもうまくいくかもしれないが微妙
・経口抗菌薬での治療は長期にしても厳しいかも

Vagal nerve stimulator infection: a lead-salvage protocol


206人の小児(3か月から17歳)の258回の手術
6人(2.3%)が感染
こちらも起因菌はS.aureusが5例、うち1例はProteus mirabilisとの共感染、あと1例はS.viridens
4人が、ジェネレーターを抜去し、リードは温存、少なくとも3-4週間のIVでの抗菌薬投与
⇀3人が温存に成功

メリットはコストと、迷走神経損傷のリスクが減ることでしょうか。

まとめ

VNS systemの感染は基本的には抜去
たぶん最初はIVでの治療がよい
温存療法もあることにはあるが定まったものはない。
非外科医が強く推奨できるものはないが、リード温存なんかは情報の共有をしてもよいのかもしれない。



結論:失神した人を「ワゴった」と表現する研修医はいろいろと認められない