2021/07/21

投稿日 2021/07/21

テルミサルタンがCovid-19の炎症を抑制するかも、について

スミヨシです。

日経メディカルで、「テルミサルタンがCOVID-19入院患者の炎症を抑制する可能性」という見出しの記事が出ていました。

記事内容としては、合併症や死亡リスクを減らすとの結論。
ハードアウトカム改善であれば相当期待できるので元論文を読んでみました。

Telmisartan for treatment of Covid-19 patients: An open multicenter randomized clinical trial

EClinicalMedicine. 2021 Jun 18;37:100962


デザイン:
アルゼンチンの他施設、オープンラベルのRCT

参加者:
18歳以上のCovid-19で発症から4日以内で入院した患者
最終的に158人
除外は、無作為化前にICU入室した患者、妊婦、授乳婦、無作為前から4日以上前の有症状、ARBアレルギー、sBP<100、K>5.5、ASTやALTが正常上限3倍以上Cre>3、すでにARB/ACEi投与

標準治療80人vs標準治療+テルミサルタン1回80mg 1日2回投与群 78人で比較

Primary outcomes
day5、day8でのCRP(当初はday8とday15のつもりだが15日以内の退院が多かったため)
Secondary outcomes
無作為化から15日、30日時点でのICU入院、人工呼吸器装着、死亡率、酸素投与率
退院までの日数
day5、day8でのLDH

結果
Primary outcomes
テルミサルタン群がCRPが低い

標準vsテルミサルタン群のCRP
ベースライン:5.53±6.19 vs 9.04±7.69
day5:6.06±6.95 vs 3.83±5.08
day8: 6.30±8.19 vs 2.37±3.47

Secondary outcomes
テルミサルタン群で退院までの日数↓死亡率↓ ICU滞在日数↓

退院日:
標準治療中央値 15日
テルミサルタン群 中央値 9日

day15での死亡率
標準vsテルミサルタン群:14.08%vs4.29%
day30での死亡率
標準vsテルミサルタン群:22.54%vs4.29%

ICU滞在率
15日と30日で結果同じ。
標準vsテルミサルタン群:18.75%vs7.69%

⇀まとめると、テルミサルタン群がより早くCRPを下げ、死亡率を下げる可能性がある。


私見
オープンラベル、N数の少なさがあるので、速やかに臨床には使えないとは思う。
主要アウトカムはおいておいて、ハードアウトカムである死亡率の低下は、今後のデータ蓄積によっては、使用価値を上げるかもしれない
ただし、そもそもアルゼンチンのCovid-19の死亡者数・死亡率が高い。
そして、標準治療の内容が不明。文献から読み取れるのはデキサメサゾンがおおよそ50%、ヘパリンがおよそ70%強に投与されている。レムデシビルやファビピラビルは不明。

以上からは、テルミサルタンがCovid-19に対してよいことを行う可能性はあるが、そもそも日本の標準治療を行った上で死亡率の改善があるか、上乗せがあるか、など不明。

と思います!!
結局いつもの、今後のデータ蓄積に期待、ってやつですね。。
個人的には、Covid-19で入院してきた患者がARBやACEiを服用していたときには継続していますが、それ以外で新規に出すことは今のところは無いかと思います。
抗体カクテルも適応通りましたし。

あ、あともし、偉い人がほめてたら、そっちに従ってください。。。
すみません。。。
ではまた。。。。


参考:アルゼンチンと日本の人口とCovid-19感染者数比較(グーグル2021/7/21検索より)

アルゼンチン
人口 45百万人
感染者数478万
死亡者数 10.2万

日本
人口 126百万人
感染者数 84.8万
死亡者数 1.5万