2021/07/12

投稿日 2021/07/12

吃逆(しゃっくり)の鑑別と対応

スミヨシです。
救急外来のふりかえりで、吃逆が主訴の患者がきたときの対応をどうするかという話題になりました。
そういや自分も研修医1年目のとき、救急の先生に一回は勉強したほうがいい、といわれてまとめて以来、あまり触れてこなかったので、あらためて勉強しました。
UpToDate®か、マイナーエマージェンシーによくまとまっています。

私のEvernoteには、難治性吃逆は、NMOと、多発性硬化症と、ワレンベルグと、横隔膜下腫瘍、と書かれていますが、いったい何から引用したのかわかりません。。

吃逆

いわゆる「しゃっくり」
基本的にはself limitedな病態、というか、健常者がこれ単独を主訴に来院することは少ないか。。

吃逆の分類

持続時間で分類
48h以内か、1か月以内か、それ以上続くか。

・48h-1か月つづく→持続性
・1か月以上続く→難治性


短期間の吃逆

病因

胃膨満が多い。食べすぎや炭酸飲料、アルコール、空気嚥下症やトウガラシ、寒冷刺激など。

治療

非薬物治療を行う。
図はUpToDate®より。
息止めやバルサルバ法、砂糖を飲み込む、アンモニアを吸う、レモンをかむ、など。
(J Hist Neurosci. 2015;24(2):123-36. )


短時間の吃逆の鑑別と対応








持続性、難治性の吃逆

病因

中枢神経系、胃や食道疾患や術後などの迷走神経、横隔神経刺激、薬物誘発性、代謝性、心因性など
図はUpToDate®より

難治性吃逆の鑑別と対応






治療

バクロフェン 1回5-10mg 1日3回
ガバペン 1回300mg 1日3回
クロルプロマジン1回25mg 1日3回
その他、メトクロプラミド、ドンペリドン、ニフェジピンなど
芍薬甘草湯や、柿蒂湯(※)も。
(日東医誌;2018;69(2).161-7)
※していとう。かきのへた。

おまけ

hiccawayという、しゃっくりをとめるためのストローがあり、多分有効。

(JAMA Netw Open. 2021;4(6):e2113933.)




hiccaway













全体の参考:
Systemic review: the pathogenesis and pharmacological treatment of hiccups:Aliment Pharmacol Ther.2015;42(9):1037-50
UpToDate®
マイナーエマージェンシー 第3版


正直外来にくる患者は持続性の方が多いです。
あと、持続性の人なら、すぐ薬剤、とするかは症状次第と思います。

個人的には寝ているときに出ていれば器質的疾患で、出なければ心因性か、なんて思っていますが、あまりそのあたりのデータはなさそうでした。
また、昔は柿蒂湯(していとう、かきのへた)を使っていましたが、取り扱っていない病院も多く、薬局で買ってもらうにも夜中に開いていないことも多いです。
今はバクロフェンを使用することが多いです。

あと、抗がん剤使用やデカドロン使用者、ペースメーカー留置者ってのが有名かと思いますので覚えておくとよいかと思います。

昔、学生のときに、ドクターGでしゃっくりを扱っている回があって個人的には好きでしたが、今見ると突拍子もないアプローチをしてました。
ドクターGって今もやってるんですかね。一回くらい出てみたかったですね。

ではまた。


結論:しゃっくりをひゃっくりと言う奴は大田舎者。