スミヨシです。
福知山市にきて、久々に総合内科やってます。
地域の砦の病院なので、普通に忙しくて笑えますが、生きてます!!
カンファが多くて楽しいです。
で、プレゼンされた患者さんの採血データをみていて、昔似たような症例があったなあ、なんて思い出したので調べてみました。
※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
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40歳女性 腎盂腎炎で入院。
ここ7年で3回目の入院(いずれも腎盂腎炎)。
入院時、T-bil 2.5mg/dl D-bil 0.3mg/dlがある。いずれの入院時も、入院時は間接ビリルビン有意の総ビリルビン上昇があり、退院時には改善している。AST/ALT/γGTP上昇はなし。LDHは軽度上昇。
前回入院時に、MRCPや腹部エコーを施行されているが、解剖学的異常などは指摘できなかった。
退院後外来フォローでは、T-bil、D-bilともに正常
この患者さんへの説明は?
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まあ、ここからは私の妄想なのです。。
この方、入院時には間接ビリルビン上昇してるけど、入院して解熱すると自然に改善するんですよね。
ショックリバーにしても、肝逸脱酵素上昇はないし。。
精査でもこれといったものは無し。
入院のときには、それなりにぐったりしていて、食事もとれない、ということがわかりました。
もしかしてこの疾患ではないかと思っています。
Gilbert症候群
ジルベール症候群。
体質性黄疸が、Dubin-Johnson、Rotor、Crigler-Najjar、そしてGilbert症候群
そのうち、関節ビリルビンが主に上昇するのがCrigler-NajjarとGilbert症候群
国試のとき勉強して、どれひとつ読めなかった気がします。。
UpToDate®では、有病率4-16%とのこと。
常染色体劣性。UGT1A1遺伝子が関与している。
誘因
ジルベール症候群の方は、症状に個人差があり、平時はビリルビン正常、誘因があって、上昇する方が多い。
誘因因子は以下の通り。
・絶食
・溶血
・発熱性疾患の併存
・身体運動
・ストレス
・月経
(Euro J of Pediatrics.2012;171.11-5)
症状
基本的には無症状
ただし、断続的な黄疸や、倦怠感、腹部不快感など起こす症例もあり。
また、胆石症リスク因子である。
注意薬物
一部薬物で副作用発生率増加やBil上昇を惹起する可能性あり。
イリノテカン、トルブタミド、アタザナビル、アセトアミノフェンなど。
代謝物のグルクロン酸抱合が減少するため、イリノテカンによる下痢や好中球減少の発生率が増加する可能性あり。
(J Clin Invest.1998;;101(4):847-54. )
アセトアミノフェンなどでも理論上、排泄減少から毒性増加が起こりうるが、臨床的意義は不明。
診断
明確な診断基準は無し。
明らかな肝疾患や溶血のない軽度の間接ビリルビン上昇で本疾患を疑う。
UpToDate®では、以下を挙げている。
・反復的なビリルビン上昇
・CBC、血液塗抹、網赤血球正常
・AST、ALP正常
遺伝子検査でも診断可能かもしれない。
治療
原則不要
診断に際して器質的疾患をどれだけ疑うか、という話にはなるかと思います。
ケースレポートでは肝生検されている症例が散見されましたが、必要かは不明ですね。。
UpToDate®のPatient educationが簡潔にまとまっていて、そのまま患者説明に用いることができそうなので、それを使用すればいいと思います。
患者の予後は変わらない可能性はありますが、心配がいらない可能性が高い、という説明のために、知っておくといつか役立つかもしれません。
ではまた。
結論:増えていく空のビール瓶!比例して上がるビリルビン!で韻が踏める。
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胆嚢炎 Murphy徴候 内臓逆位