2021/08/10

投稿日 2021/08/10

痙攣による乳酸アシドーシス

スミヨシです。


けいれんか失神かよくわからない病歴のときに、乳酸があがっているからけいれんかも、というのはまま救急で話題に挙がるかと思います。

(Presse Med.1998;27(13):604-7.)

この乳酸高値って短期間で改善するけど、アシドーシス起こしてもいいのか聞かれました。多分いいとは思うけど確信が持てなかったので調べてみました。


痙攣後の乳酸アシドーシス

結論として、あっていいと思われる。

ケースレポートはあるが、診療ガイドラインなどで検査内容に「乳酸アシドーシス」の記載はなさそうでした。

Acta Anaesthesiol Scand.2003;47(5):616-8.


UpToDate®のCauses of lactic acidosisの項目より引用

⇀大発作や運動の後、血中pHは6.8まで低下する可能性がある。しかしこのような患者の乳酸利用率は急速に増加し、320 mmol/hに達することもある。その結果、発作や運動が終了すると、血中pHおよび血漿中の重炭酸濃度は速やかに正常に戻る。

(NEJM. 1977;297(15):796. )

(J Appl Physiol. 1972;32(1):59. )

(Am J Physiol. 1992;262(1 Pt 2):R126. )

(Ann Intern Med. 1980;92(2 Pt 1):227. )


320mmol/hが早いのかわからん。。

とりあえず、高乳酸血症がある際に、アシドーシスがあろうがなかろうが、自然経過で改善するということでよさそうですね

乳酸アシドーシスがある場合は何か別病態があるかも、みたいな動きも多分不要かと思います。

個人的には代謝性アシドーシスまで来たしていたら、少なくともアシドーシス改善までは血液ガスフォローしていましたが、それもいらないかもしれませんね。


ふと、昔、よくわからない乳酸アシドーシスの鑑別に非痙攣性てんかんを挙げているのを目撃したことを思い出しました。

よく考えると非痙攣だから乳酸あがらないですよね。。だまされました。。

ではまた。


結論:高乳酸血症とカルテにタイピングすると勝手に高尿酸血症と変換されがち