スミヨシです。
原発性アルドステロン症ってみたことありますか?
実は恥ずかしながら自分で診断つけた原発性アルドステロン症って1例しかないんですよね。
その症例も低K血症が主訴で、なぜか血圧高い中年の方だったのでわかりやすかったですけど。
結構いる、とかいうけれど全然見ないし(見逃しているのは承知のうえ)、既往歴に原発性アルドステロン症の人も見ないし、もしかして原発性アルドステロン症は幻かもしれないと思い始めています。
もうちょっとアルドステロン症みつけてもいいんじゃないかと思いなおし、スクリーニングを再度調べました。
高血圧患者の中の、原発性アルドステロン症の割合
高血圧患者の5% 、難治性高血圧の約20.9%にみられる。
(Horm Metab Res 2012; 44: 157–62.)
(Lancet 2008; 371: 1921–6.)
原発性アルドステロン症のスクリーニング
(日本内分泌学会:わが国の原発性アルドステロン症の診療に関するコンセンサス・ステートメントより)
血清アルドステロンと血清レニン活性を測定
アルドステロン/レニン>200 およびアルドステロン>120pg/mlを陽性とする
検査前は、
・食事普通にとる(塩分制限しない)
・K正常値にする
・降圧薬休薬2週間後(難しければ、CCBやαBに変更だが、CCBも本当はだめ)
・甘草いりの漢方も休薬
スクリーニング陽性ならカプトプリル負荷試験(フロセミドでもいいけどカプトプリルの方が多分かんたん。
カプトプリル50mg内服、安静臥床で60分後にアルドステロン/レニン>200かどうか調べる)
スクリーニングは全高血圧患者が望ましい。
ここまで調べて、全高血圧患者は厳しいだろ、と思っています。
個人的には内科外来マニュアルの、二次性高血圧患者の鑑別を検討するケース、もしくは、米国ガイドラインのスクリーニング適応がよいかと思っています。
二次性高血圧の検査を検討する症例
・家族歴、肥満歴のない30歳以下での発症
・高齢での急性発症
・3剤でもコントロール不良
・高血圧緊急症
・そのほか、二次性高血圧を疑う所見がみられる
(医学書院 ジェネラリストのための内科外来マニュアル第2版より一部改 本文中には、二次性高血圧を疑う所見を羅列してくれています。)
原発性アルドステロン症のスクリーニング適応
(The J of Clin Endocrinology & Metabolism.2016;101(5):1889–1916.)
ただ、原発性アルドステロン症を見つけるのは、血圧コントロールや低Kのことと、手術適応のことがあるので、通常の内服薬でコントロールできている高齢者に今からスクリーニングは不要、と思っています。。
新しい治療
難治性高血圧症の新治療法が保険適用に −高血圧の原因ホルモンを手術なしで直接断つ −
ってのが東北大学から出てました。
副腎腫瘍のラジオ波焼灼が保険適応のようですね。
もしかしたら東北では症例を集めるためにスクリーニングが盛んになるかもしれません。
通常は手術か、エプレレノンです。
スピロノラクトンは女性化乳房のリスクあります。
ただ、エプレレノンではどうしても血圧コントロール難しくてスピロノラクトンにせざるを得ない人、いますよね??(n₌1ですけど)
今のところは、これをみてもスクリーニングもっとしよう、とは考えていないです。
この分野も、あまり興味がない人が多いとは感じていますが、スクリーニングした方がいい人くらいは知っておいてもバチは当たらないと思います。
ではまた。
結論:大学4年のときに、ACE阻害薬をAngiotensin Coverting Enzyme Inhibitorを使用します、って学生だけのカンファでいっている奴いて、当時はカッコいい!!!と思っていたけど、今見ると正直うっとうしいし、臨床してない感が半端じゃない。