2021/09/25

投稿日 2021/09/25

【症例】お好み焼きを食べた後のアナフィラキシー

スミヨシです。

前回の記事がアナフィラキシーだったので、それがらみでもうひとつ。

※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

---------------------------------------------

40歳男性

家で作ったお好み焼きを食べたあと、皮疹、呼吸苦が出現して来院。

アレルギー性鼻炎はあるが、食物、薬物のアレルギー歴はなし。

具材はお好み焼き粉、しょうが、ソース、マヨネーズ、キャベツ、豚肉、卵など

お好み焼きはたまに作る。レシピはいつも通り。


さて、この人は何アレルギー?問診で聞くことは??

---------------------------------------------










かなりベタな病歴ですが。。
この症例は「小麦アレルギー」としない方がよさそうです。
お好み焼きやたこ焼きを食べた後のアナフィラキシーやアレルギー反応は、ダニが原因かもしれません。



oral mite anaphylaxis(pancake syndrome)

口腔ダニアナフィラキシー。
小麦粉などで繁殖したダニによるアレルギー反応

コナヒョウヒダニが主な原因
このダニがある程度時間が経っている、常温保存した小麦粉で繁殖しやすい
パンケーキやスポンジケーキ、ピザやパスタでの発症が多い
(J Allergy Clin Immunol.2013;131(1):31-5. )

日本では、お好み焼き、たこ焼きの発症が多い。
(Allergol Int.2014;63(1):51-6. )


30症例の中では、43.7%がNSAIDs過敏症であり、全員が喘息もしくは鼻炎の既往があった。
(J Allergy Clin Immunol.2013;131(1):31-5. )

診断基準

明確なものはないが、上記参考文献の筆者、Mario Sánchez-Borges氏は下記を提唱している。

・小麦粉摂取による症状の誘発
・鼻炎、喘息、アトピー、食物アレルギーのいずれかの既往歴
・ダニ特異的IgE陽性
・原因と思われる小麦粉の抽出液による皮膚テスト陽性
・市販の、もしくは非汚染小麦の皮膚テスト陰性
・汚染されていない小麦食品摂取で症状が誘発されない
・原因の小麦粉で、顕微鏡下にダニを確認
・イムノアッセイによる小麦粉中のダニ抗原の確認
・アスピリン/NSAIDs過敏症

上記のどれくらいを満たせばいいかは不明。
(J Allergy Clin Immunol.2013;131(1):31-5. )


おまけ

開封した粉を、密封容器で、冷蔵することで防ぐことができる。



実際には、小麦アレルギー、特に運動誘発性アナフィラキシーとの鑑別にはなりそうです。

なんか、感染症の勉強してると、何も食べられなくなってくると思います。
でも、札幌のIDATENという感染症のカンファレンスの打ち上げは、みんなでカキを食べてました。勉強すれば多分感染しなくなるんだと思うので、もっともっと勉強します。

ではまた。



結論:奥さんがお好み焼きをピザ切りした時には、マジで目を疑った