Twitterで、ある疾患の経過として、とてもいいプレゼンを見つけました。
NEJMのCLINICAL PROBLEM-SOLVINGです。
8月くらいに出てました。
Turning Purple with Pain
(NEJM 2021; 385:549-554)
※一部省略、変更あり
32歳女性
10年来の腹痛をもつ患者が、NRS 10の腹痛で来院。
腹痛は1-2か月に1回あり、数日続く。
食事や生理周期とは関係なく、走ると増悪する。
激しい腹痛のあと、3-4日間の便秘が続く。
過度の力みや適便、血便、体重減少、発熱、食欲低下はなかった。
過去に3回の入院歴あり
直近は3日前まで入院。上下部内視鏡、CTをされているが正常
Na 124mEq/lであったが、腹痛⇀経口摂取低下⇀循環血症量減少とアセスメントされた。
生理食塩水点滴で改善した。
一時的に意識障害(原文は"out of it")があったが、腹痛に対するオピオイドに関連すると考えられ、転換性障害と診断された
内服
エトノゲストレル皮下埋め込み型避妊具
セチリジン(季節性アレルギーに)、バラシクロビル(単純ヘルペス予防)
皮下埋め込みまでは5年間ピルを飲んでいた。
既往歴
15歳:線維筋痛症
16歳:卵巣嚢腫摘出後
嗜好、社会歴、家族歴
喫煙:never
飲酒:機会飲酒
ケトン食ダイエットなど減量のため複数のダイエットを行ったことがある。
BMI 19.5
IBDや腹痛の家族歴なし
経過
採血ではAST、ALTが50程度
Na124 他の生化学、フェリチン、CBCは正常
早朝コルチゾール正常
C1-INH正常、トリプターゼ正常(⇀血管浮腫、全身性肥満細胞症否定)
組織トランスグルタミナーゼIgA正常(セリアック病否定)
⇀ノルトリプチン開始となった。
2か月後
3日間の激しい腹痛、1日排便がなく、ER受診
HR 107 BP 113/81 RR 14 SpO₂ 100%
意識清明 直腸診正常
腹部造影CTは正常
採血異常なく、妊娠反応も陰性
投薬や浣腸で、腹痛は改善したが排便なしで入院
入院後2日目、3日目に激しい腹痛
Na136⇀128に低下
生食負荷すると125に低下
血清浸透圧 255 尿浸透圧 413 尿中Na 153でSIADパターン
甲状腺機能やコルチゾールは正常であった。
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さて、ここまでで、診断は?
そのために必要な検査は?
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うーん、わからんって感じでした。
血管とかACNESみたいなやつかなあ、なんて思いましたが、全然違いました。
ポイントは一時的な重度の腹痛、低Na血症、前回入院時の意識障害、年齢、だそうです。
原文よんだら、この時点で突如、〇〇が鑑別の上位にあがる、とか書いてて焦りました。
以下答えです。
ある疾患を疑い、尿中のポルフィリンパネルを採取したところ、ポルフォビリノーゲンとδ-アミノレブリン酸の上昇があった。
その後の遺伝子検査より、急性間欠性ポルフィリン症の診断となった。
尿検査の結果が返却された後、患者を担当する看護師は、数日前に彼女の尿が「紫色」に見えたことを指摘した。
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ということで急性間欠性ポルフィリン症でした。
診たことない!!
AIUEOTIPSのPに入っているあのポルフィリン症ですね。
全然疾患イメージが無いので、次回は急性間欠性ポルフィリン症を一回は勉強してみます。
ではまた。
結論:最初の画像はポルシェ不倫
急性間欠性ポルフィリン症
総合内科でポルフィリン症診ることがあるとすれば急性間欠性ポルフィリン症が可能性高いのかなあと思っていますので、それだけをまとめます。