2021/11/09

投稿日 2021/11/09

急性間欠性ポルフィリン症

スミヨシです。

前回の続きです。


急性間欠性ポルフィリン症について、最低限まとめました。

本当に最低限です。

総合内科でポルフィリン症を診ることがあるとすれば急性間欠性ポルフィリン症が可能性高いのかなあと思っていますので、それだけをまとめます。


急性間欠性ポルフィリン症(acute intermittent porphyria :AIP)

(NEJM 2017;377:862-872.UpToDate®など参考)

ポルフィリン症は、ヘム生合成経路内の酵素の活性の変化によって引き起こされる代謝障害。

現在9病態が確認されている。

晩発性ポルフィリン症以外は原則、遺伝性


その中でも、急性間欠性ポルフィリン症は、ポルフォビリノーゲンデアミナーゼ欠損で起きる。


疫学

欧米に比して、日本ではまれなよう。

American Porphyria Foundationによると、米国でのポルフィリン症は2万人未満、その中で、AIPの有病率はおよそ20,000人に1人と推測されている。

一方porphyria.jpによると日本では、これまで198例が診断されている、とのこと。

一般的に女性の発症率が高く、日本でも女性:男性=5.2:1

(https://porphyriafoundation.org/)

(https://porphyria.jp/about-AHP/epidemiology)


症状

腹痛(74%)、悪心および嘔吐(73%)、便秘(60%)、不安およびうつ病(55%)が急性発作の症状で見られる。

随伴病態として高血圧(43%)、末梢神経障害(43%)、慢性腎臓病(29%)、精神障害(22%)、動悸(19%)、けいれん(9%)、肝硬変(2%)、および肝細胞癌(1%)

急性間欠性ポルフィリン症と肝細胞癌との関連が報告されているため、専門家は、肝超音波検査による毎年のスクリーニングと、あらゆる形態の急性ポルフィリン症の患者における50歳からのα-フェトプロテインのスクリーニングを推奨

(Am J Med 2014;127:1233-41.)

低Na血症も25-60%で合併することがあり、SIADパターン

(Ann Transl Med 2020;8:1098.)


日本の有病率を考えると、20-40歳くらいの成人が、2-3日つづく腹痛で救急受診、というのを繰り返しており、精神症状や痙攣も伴う、低Na血症も伴う、となれば疑うことになりますかね。


増悪因子

・アルコールの摂取

・感染症

・低カロリー摂取

・生殖ホルモンのレベルの上昇

・薬物療法、特に抗けいれん薬


ピルもリスクだから女性に多いんですかね。

糖質制限ダイエットもリスク因子ということになります。


検査

まずは尿のポルフィビリノーゲン(PBG)、δ-アミノレブリン酸(ALA)を測定

ALAは必須ではないが、PBG陰性の場合、尿中ALA陰性ならポルフィリン症否定的だが、ALA高値の場合には、ALA dehydratase porphyriaが鑑別になる

PBG>10mg/Lの場合、治療開始する。

いずれにせよ遺伝子検査が必要。


尿中ポルフィリンがPBGからポルフォビリンに変換されるため、酸素、光、または熱にさらされると、尿が赤または茶色に見え、暗くなることがある

⇀尿検査は遮光で採取がよいかも

患者が、尿の色が変だ、という主訴でくることはまずない。



治療

・薬剤回避

・ヘミン静注

・グルコース負荷


・薬剤回避

American Porphyria Foundationのデータベースから検索可能。

メトクロプラミドやフルニトラゼパム、フェニトインなど記載。


・ヘミン静注

⇀日本ではノーモサング®

3-4mg/kg 1日1回 4日間

製剤は250mgであり、この量を超えない量での投与。

添付文書にいろいろ投与方法書いてますのでそれを参考


患者の74%が、ヘミン静注が症状改善に効果があると評価している

(Am J Med. 2014;127(12):1233.)

・グルコース負荷

10%ブドウ糖液を用いて、300-400mg/dayで投与

あくまでヘミンが治療の主体である。



結論:今週ポルフィリン症のことばかり考えていたので腹痛の人が全員ポルフィリン症に見える病気にかかった。