2022/02/10

投稿日 2022/02/10

【症例】70歳男性 左下肢腫脹、くるぶしに変なあざ

スミヨシです。

身体所見も、臨床写真も、沼だと思っています。
ほんとうに限りなく、知らない所見が出てきます。

回診の際にまたボスから知らない身体所見を教えてもらいました。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
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70歳男性

右膝痛が数か月前からある
来院5日前から右下腿腫脹と痛みが出現
下腿はびまん性に紫色の皮膚変色あり
疼痛部位のない、右足外果にも写真のような内出血様の所見あり


ベイカー嚢胞破裂による、crescent sign

診断は?

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まあ、正直この身体所見自体が重要、とはいいませんが、いつか役に立つかもしれません。
基本的には病歴ありきの身体所見だと思います。




正解は、ベイカー嚢胞破裂による、crescent signです。
聞いたことありますかね?




ベイカー嚢胞破裂

ベイカー嚢胞(Baker's cyst)自体は、膝窩にできる良性病変です。
これが破裂した時にDVT様の症状が起きます。
下腿の痛みがメインで、基本的には対症療法です。


crescent sign

ベイカー嚢胞破裂により、下腿の体液が重力変化でくるぶしの下にあざをつくります。
それを三日月になぞらえて、crescent signと呼ぶようです。

内側にできる、とのことでしたが、外側に出来ているclinical pictureもあったので私の写真もcrescent signでよいと思います。。




(J Gen Fam Med. 2019;20(5): 215–6.)


このくるぶしのあざだけなら打撲かもしれませんが、下腿腫脹の方でこの所見があれば、ベイカー嚢胞破裂を念頭にいれましょう。
DVTとの鑑別に役立つかもしれませんが、実際には下肢静脈エコーを行わないムーブはなさそうですけど。


ではまた。



結論:豚丹毒を見つけたのもWilliam Morrant Baker