スミヨシです。
この前のカンファレンスで、
「整形外科の術後っていつの間にかDOAC使ってるよね」
なんて話になりました。
DVT/PTE予防に使っているんなだなあという印象です。
そういえば、初期研修のときはクレキサン使ってたのが、自分が4年目(2019)のときにできた外傷センターの先生が術後DOAC使ってて、変わってるなあなんて思ったものです。
整形術後のDVT/PE予防のことをすこしだけ調べました。
日本のガイドライン
2004年、2008年にそれぞれガイドラインが出たようです。
クレキサンが適応通ったのが2008年です。
その後2017年に新しいガイドラインが出ています。
その間にDOACが市場に出回り、整形術後に使われるようになったのかなあ、なんて思います。
ただ、有料なので、どれも読めませんでした!!!
日本のガイドラインはほんとこんなのばっかですね!!!!!
だから内容わかりません!!!!
とりあえず、無症候性のものではなく、症候性VTEを予防しよう、という内容に変わってきたようです。
AAOS(米国整形外科学会)ガイドライン
(J Am Acad Orthop Surg.2011;19(12):768-76.)
▼待機的な人工股関節置換術や人工膝関節置換術を受ける患者で、静脈血栓塞栓症や出血のリスクが手術そのものよりも高くない場合に、VTED予防のために薬物療法や機械的圧縮装置を使用することを提案するけど、どの薬剤や予防方法がいいかはわからないので、どれも推奨も反対もしない
ACCP(米国胸部医学会)ガイドライン
(Chest.2012;141(2 Suppl):e278S-e325S.)
▼THA/TKA
それぞれ人工股関節全置換術、膝関節全置換術
以下を最低10-14日投与
低分子ヘパリン(LMWH)、アリクストラ、アピキサバン、ダビガトラン、リバーロキサバン、低用量未分画ヘパリン(LDUH)、調整用量ビタミンK拮抗薬(VKA)、アスピリン(すべてグレード1B)
間欠空気圧迫装置(IPCD)(Grade1C)
ただ、下の欄にはこれらで、LMWHを優先する、と。
▼HFS
股関節骨折手術
以下を最低10-14日投与
LMWH、アリクストラ、LDUH、VKA、アスピリン(すべてGrade1B)
IPCD(Grade1C)
それらふまえて
抗血栓薬とIPCDを併用(Grade1C)
出血リスクが高ければ、IPCDのみもしくは予防をしない(Grade2C)
IPCD、注射に否定的、非協力的な患者には、アピキサバンまたはダビガトランを使用(Grade1B)
DOACは簡便ですが、まずはLMWHなど使用、ということでしょうか。
そのほか
THA/TKA術後のアスピリン・リバーロキサバン塞栓予防、出血性は同等
(NEJM 2018; 378:699-707)
NEJMでも同じような切り口のものがありました。
多分、論調としては、わざわざDOACじゃなくても、費用対効果を考えるとアスピリンでいいだろう、というものです。
まとめ
まとめると、エビデンス蓄積的にはヘパリン+IPCDによる圧迫がベターだけど、DOACがだめ、という証拠もない、ということでしょうか。
副作用が増えないのであればいいですけどね。
とにかく予防することが大事だとは思います。
知っておくだけでも役に立つかもしれません。
というわけで、「整形術後のDVT/PTE予防はDOACでよい?」
というクリニカルクエスチョンの答えは、「よいんじゃない?」
でいいかな、なんて思いました。
ではまた。
結論:DOACの一般名は一生覚えられない