救急でSAHや大動脈解離など来た場合、まず降圧、という場面ではニカルジピンを使用する場面が多いと思います。
札幌で救急をしているときには、ニカルジピンは原液で使用していましたが、他病院に転院の際に、ハーフで投与してください、と言われる場面がありました。
よく使用されるハーフニカルジピンは、
ニカルジピン 20mg/20ml+生理食塩水 20ml
合計40mlで持続シリンジにつなぐ、という方法です。
調べてみると、ハーフニカルジピンにするのは、静脈炎を減らすため、とありますが、実際には上級医の先生の好みで使っているのかなあ、なんて思っていました。
というわけで、ハーフニカルジピン、調べてみました。
ニカルジピンによる静脈炎
わが国でのニカルジピンによる末梢静脈炎発生率は25.7%-31.8%程度
(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)
(J Pharm Health Care Sci. 2012; 38(9): 541-6.)
ニカルジピン投与14時間以内に多い
(Am J Med 1988;85(3):331-8.)
米国の添付文書では、12時間ごとのカテーテル差し替え推奨
ニカルジピンの希釈
▼添付文書(日本)
0.01%-0.02% で希釈(1mlあたり0.1-0.2mg)
メイン点滴 45ml/h+ニカルジピン原液5mg/hでちょうど0.01%
▼UpToDate®:適正濃度 25mg/250mlで記載
▼the ICU BOOK 記載なし
▼ICU/CCUの薬の考え方、使い方 「原液で使用」
投与量や投与時間、速度で静脈炎発生率はかわる
(J Pharm Health Care Sci. 2012; 38(9): 541-6.)
(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)
九州大学ICUでの後方視的研究
血管障害発生群(n=14)vs非発生群(n=27)
投与時間:40.99h vs 9.58h
相投与量:271.57mg vs 36.67mg
投与速度:50.52ml/h vs 40.00ml/h
濃度も関係あるかも
(J Pharm Health Care Sci. 2017; 43(1): 45-52.)
福岡徳洲会病院の後方視的研究
結局、メインの点滴がないと、希釈率は上がらないですし、ハーフにする意味がどれくらいあるかはわかりません。
単独ルートで投与の場合には多少静脈炎を減らせるかもしれませんね。
ではまた。
結論:ピザのハーフ&ハーフで、いろんな味を楽しめるようにした奴は天才そのもの