2021/12/02

投稿日 2021/12/02

急性胸部症候群

スミヨシです。

EM Allianceという、ERの若手の先生方が中心となって、文献紹介したり、イベントを行ったりしている集団がいます。
そこのメーリングリストはぜひ登録すべきです。

で、毎月症例問題がありますが、10月の問題が興味深いものだったので、紹介です。
タイトルはネタバレですが、聞いてピンとこないならまずは症例を診てみてください。

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急性胸部症候群、恥ずかしながら、初めて聞きました。。
知らない病気はまだまだありますね。
ネーミングだけだと、なんかあんまり大したことなさそうな疾患ですが、それなりに大変な病態のようです。

日本の真の首都、京都で医療をたしなむものとしては外国のcommon diseaseも勉強する必要がありそうなので調べてみました。


急性胸部症候群

Acute chest syndrome 、略してACS
急性冠症候群とややこしいですね

鎌状赤血球症患者の、発熱もしくは呼吸器症状もしくはその両方を呈し、胸部Xpで新規浸潤影を指摘できるものです。
(Br J Haematol. 2015;169(4):492-505. )
そもそもが、鎌状赤血球症の症状の中でも、Acute painful episodesと呼ばれる血管閉塞による疼痛発作が有名です。
典型的には、疼痛発作で入院してから48-72時間以内に発生
(Chest.2000;117(5):1386-92.)

急性胸部症候群の症状

上記の通り、発熱、胸痛、呼吸器症状が主。
腕や足の痛み、肋骨の痛みのことも。
(NEJM.2000;342(25):1855-65.)

治療

・疼痛管理
・輸血
・抗菌薬
・輸液や酸素投与
・VTE予防

・疼痛管理

経静脈的にモルヒネ投与(0.1-0.15mg/kg)
可能であれば30分以内に。
(JAMA.2014;312(10):1033-48. )
・輸血
早期の輸血は人工呼吸器装着、死亡のアウトカムを改善する。
(JAMA 2011;305(9):893–902)
重症の場合には交換輸血も考慮。。
・抗菌薬
推奨されているものはあまり少ないが、第3セフェム+マクロライド、が選択されることが多い模様。
・VTE予防
粘稠なので、ヘパリンでの予防が推奨される。


マジででくわしたら、血液内科の先生に泣きつきたいところですが、別に血液内科の先生が慣れている、とは限らないですもんね。。

日本の中心、京都に住むものとして、もしでくわしても最低限対応できるように備えられたらなあと思いました。
ではまた。


結論:京都の人は冗談抜きで、マジで、首都は京都と思っている