スミヨシです。
カンファでCOPD急性増悪の患者に対しての抗菌薬が話題になりました。
CRP1くらいなので、これなら、抗菌薬不要では、みたいな話をしてましたが、果たしてそうでしょうか。
「CRPでCOPD急性増悪に対する抗菌薬投与を減らすことができる」
というフレーズだけが先走りしている感もあったので改めて元論文を読んでみました。
C-Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations
(NEJM. 2019; 381:111-20)
2019年のNEJMから
多分これのことだと思います。
まず、先行文献でわかっていることに
「CRP≧4以上かつ、膿性痰があるCOPD急性増悪は、抗菌薬なしだと、63.8%が治療失敗する」があります。
本文中でも記載ありますが、この論文が前提だと思います。
(Chest.2013;144(5):1571-1577. )
で、上記論文では、軽症、中等症を対象にしており、入院患者は除外されています。
そんなわけで、こっちのNEJMの論文もセッティングは外来です。
そのうえでイギリスの外来のCOPD急性増悪で、
・CRP 2以下は抗菌薬を処方すべきではない
・CRP 2-4 で膿性痰のある患者は抗菌薬投与が有益かも
・CRP 4以上は抗菌薬投与が有益である可能性が高い
という推奨のもとに、
CRP検査を行い、抗菌薬投与を行う群vsCRP測定しない通常群
Primary outcomeは
・4週間以内のCOPD急性増悪での抗菌薬使用
・2週間時点でのClinical COPD Questionnaire
です。
Clinical COPD Questionnaireは症状の質問票で、点数が高いと、COPDの症状が強い、という解釈でよさそうです。
0-6点で、10項目あり、0点は非常に良い、6点は非常に悪い
結果
抗菌薬使用は
CRPガイド群vs通常群:57.0% vs 77.4%
CRPガイド群が有意に抗菌薬使用が減っている。
Clinical COPD Questionnaireは
CRPガイド群が平均-0.19点と症状改善につながっている。
secondary outcome
色々ありますが興味深いのだけ。
CRPガイド群は325人、通常群は324人だが、
抗菌薬投与はそれぞれ、158回、234回とCRPガイド群の抗菌薬処方数が減っている。
抗菌薬副作用は両群で有意差はなかった。
とまあ、ざっくりこんな感じですか。
COPD急性増悪だけど、入院は必要なさそう、という患者もそこそこはいるはずです。その中で、また来てほしくない、悪化しないようにAMPC/CVA+PSLを処方することが多いけど、それをもう少し考えてみよう、とそういう内容だと思っています。
とりあえず、日本とイギリスの入院の閾値や、かかりつけ医制度の違い、抗菌薬の入手のしやすさ、などあるので一概にはいえないですが、入院患者や、明らかに肺炎像のある患者に使用していいデータではないとは思います。
っていうのを、ちゃんと言えたらよかったのですが、内容をきちんと把握してなかったのでスルーしちゃいました!!!
自分もそうなのですが、周りの若手の特徴として、有名論文はどこかの医者や医者ブロガーや医者ツイッタラーが読んでくれるので、その文面やフレーズだけ覚えてしまって、どの患者に使えばいいのか、が抜けていることが多いな、なんて思います。
自分が3-4年目のとき、研修医には自分で論文よまなくても誰かが読んでくれるから、ブログとTwitter探しまくれ、と教えてました。
ただ、指導医の立場になると当然、そういうわけにはいかないですね。
頑張りまくりマクリスティ!!!!バイチャロス!!
結論:義理の父がタバコ吸っていないのにCOPDと診断されていて吐きそう