2021/12/23

投稿日 2021/12/23

線維筋痛症に絶食療法?

スミヨシです。


線維筋痛症疑いで絶食療法をされた、そのあとからずっと体調が悪い、という患者がいました。

診断があっているかどうかはともかく、絶食療法、というのが聞いたことが無かったので調べてみました。



線維筋痛症における絶食療法

(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)


基本的に、線維筋痛症に対しては、説明と、鎮痛薬、抗うつ薬などの薬物治療を行う。

抵抗性の患者に対して、選択肢にあがる?

UpToDate®や多くのレビューなどには記載がなく、注意。


方法

画一された方法があるわけでは無さそう。

日本の文献では、1979年の山本らのものが引用されていることが多く、慣習的な方法と思われる。

(Psychother.Psychosom.1979;32:229-40.)

原著読めなかったので、違う文献から引用

(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)

・絶食期間は10日間

開始2日前に5分粥、1日前に3分粥 

終了後1日目に3分粥、2日目に5分粥、その後は普通食

・水分摂取は自由

ジュースは、リンゴジュース、ニンジンジュースのみ可

・点滴

アクチット500mlにネオラミン3B1A,アデラビン9号1A混注したものと,アクチット500ml計1000mlの点滴を行う


海外の文献はドイツのOtto Buchinger氏が考案のものが使われている印象

(Forschende Komplementärmedizin. 2002:189–199.)

こちらは、

1-2日間の果物やジャガイモなどで800kcal/day 単食

経口下剤であるNatrium sulfuricumを飲みつつ、2-3Lの水分と、野菜スープを飲む。350kcal/dayを目標に7-8日間のカロリー制限

終わった後はリンゴをゆっくりと食べる。

野菜中心の食事をしつつ3日間ほどかけてもとのカロリーにもどす


結果

15例の線維筋痛症に施行し、VAS(視覚アナログスケール)ベースで、疼痛のスコアリング
⇀10例が有効であった。
疼痛の改善は絶食開始、3日目頃より得られ、4・5日目に一旦痛みが再燃したのち、飢餓感が表れる6・7日目頃より急速に軽快していく。

2例はdrop out
一人は空腹に耐えきれず、もう一人はスルピリドによる薬剤性パーキンソニズム出現、とのこと。
(Clin Rheumatol.2007;19:24-30.)


尿ケトンが出まくってたり(13例中11例)、refeedingのことを考えると、内科医としてはとても勧められたもんじゃないと感じてます。
これで病院受診が終了したならいいですが、そのあたりの言及はありません。
何科の先生がこれを実際にやっているかは興味深いです。

海外のものもありました。
こちらは、アンケート(FIQスコア)ベースで評価
短期的にはすぐれているが、長期的には効果はないかも
(Evid Based Complement Alternat Med. 2013;2013:908610. )


実際線維筋痛症の加療は患者にとっても医療者にとっても大変だと思いますので、何かにすがる気持ちはわかります。
ちゃんと勉強もせずに否定もよくないので次は線維筋痛症をまとめようかと思います。

結論:中学生の時、毎週金曜日がカレーで嫌だったのでハンガーストライキを決行したが普通に食事抜きになって損しただけだった。