以前線維筋痛症に触れましたがそもそも線維筋痛症をあまり知らないので、一応さらっと、線維筋痛症についてまとめました。
線維筋痛症
(Ann Rheum Dis.2017;76(2):318-28.)
(JAMA. 2014;311(15):1547-55. )
広範囲にわたる疼痛が3か月以上つづく
倦怠感や睡眠障害、抑うつ症状を伴い、関節炎や炎症反応上昇などは伴わない。
有病率は2-3%、とのこと。
診断がつくまでに医師の診断が平均3.7回、2年以上かかることも。
診断
UpToDate®では、1990年の米国リウマチ学会の分類基準と2010年の診断基準が紹介されている。
線維筋痛症ガイドラインは
「2010年基準あるいは2011年基準が簡便さから適応しやすいが,整形外科的疾患や精神疾患が鑑別診断に挙がる場合は1990年基準で確認する必要がある。」
と記載。
図はすべて線維筋痛症学会のガイドラインより引用
1990年 分類基準
(Arthritis Rheum. 1990;33(2):160-72. )
広範囲の痛み、および18の圧痛点のうち11か所以上で陽性
2010年診断基準
(Arthritis Care Res (Hoboken). 2010;62(5):600-10. )
(J Rheumatol. 2011;38(6):1113-22.)
2010年のものを簡略化している。
身体症候が問診しやすくなっている。
2016年診断基準
(Semin Arthritis Rheum. 2016;46(3):319-29. )
多領域の痛みと、他の疾患は除外しない、という内容になった。
なんとなく、2011年版が使いやすいようには思います。
治療
EULARガイドラインでは、まずは生活指導や情報提供
難しければ個別化治療として服薬
生活指導
悪化要因:
①喫煙,②肥満,③心身の強いストレス
改善要因:
①有酸素運動,②徐呼吸,③禅,ヨガなどの瞑想,④温熱・WAON療法
⑤局所の冷却療法,⑥森林浴(アロマ療法を含む),⑦音楽療法
⑧適量のアルコール
服薬
疼痛に関しては、プレガバリン、デュロキセチンが臨床経験が多い。
トラマドールも有効
古典的にはアミトリプチリン 10mg 程度から開始だが、日本では適応なし。
実際にはうつ傾向になることも多く、TCAやSSRIの出番も多いのかもしれない、と感じています。
なかなかとっかかりにくいし、不定愁訴、と言われがちな疾患です。
ただ、線維筋痛症は鑑別疾患や併存疾患も多く、総合内科医としてはなんとかうまく付き合うことができれば、と思っています。
あと、素晴らしいブログがありますので、それも最後に貼っておきます。
線維筋痛症の鑑別疾患・併存疾患なんか、だいぶ勉強になりますし、自分でつくるパワーもないのでありがたいです。
ではまた。
結論:自分でまとめているときに、上位互換みたいなブログ見つけてしまうと、いつの間にかミラーサイトのごとくパクっているが、無意識なのでセーフ
線維筋痛症~鑑別疾患と併存疾患~
線維筋痛症の鑑別と併存疾患・状態について(2)(3)の論文よりまとめました。 因みに日本の『線維筋痛症診療ガイドライン2017』では、各科毎に線維筋痛症を併存しやすい疾患をまとめております。 それにしても多いですね…鑑別では、まずは一番上の表の鑑別を考え、なければ下の表を考慮するので良いのではないでしょうか。 最初からここまで鑑別する必要はないかと思います。というか鑑別疾患でないものも含まれておりますし… 全部まとめて欲しいという方のために、上の2つの表をまとめたものを以下に書いておきます。 【参考文献】 (1) 日本線維筋痛症学会, 線維筋痛症診療ガイドライン2017 (2) Lichten…