スミヨシです。
1/24 厚生労働省から、コロナ患者の濃厚接触者は検査しなくてもコロナと診断してよい、という方針が発表されました。
濃厚接触者 検査なしでも医師が感染と診断可能に 厚労相
なんか、いろいろと騒がれてはいますが、実際に検査なしで感染を診断、というのはできるでしょうか?
なぜ検査無しとか言い出した?
今、全国的に、抗原検査もPCRも試薬が足りません。
外来患者のコロナの検査が気軽に出来ないです。
私の働いている病院でも、
院内感染を防ぐため、入院患者へのPCRを確保する
⇀発熱外来患者は外注のPCR(結果判明まで3-5日かかる)を使用
となっています。
検査数が確保できないことを肌で感じます。
よって検査をしてもしなくても陽性の可能性が高い、濃厚接触者かつ有症状者に関して検査しなくてもいい、という方針を打ち出して検査数を減らす狙いがあるのかと思います。
「みなしインフル」について
検査をせずに診断という点ではインフルエンザを想起します。
インフルエンザも、大抵抗原検査で陽性か陰性か判断していることが多いですが、別に診断に検査は必須ではありません。
発熱と気道症状、全身関節痛があり、家族がインフルエンザに罹患、という患者が来た際には検査せずにインフルエンザの診断をしています。
私は自分の研修医時代の先輩が使用していた言葉をお借りし、みなしインフル、と呼んでいます。
コロナはもうインフルと同レベルだ、とかそういう話ではないのであしからず。
実際に「みなしコロナ」は可能か?
各自治体の判断にはなるため、運用はまちまちになりますが、意外と難しいと思います。
▼検査をせずに診断、に意外と医者が慣れていない
私は初期研修を始めてから、ずっと師匠が感染症医ですので、検査をせずにインフルエンザの診断をしてよい、というのに慣れています。
ただ、多くの先生方は、そもそも検査をせずにインフルを診断した経験がない、と思われます。
違ったらごめんなさい。
さらに、検査をして診断、というのに、世間も医者も慣れきったと思います。
検査しないで本当に陽性って言えるんですか?という質問に対しては、説明できても理解していただくのは難しいです。
みなしインフルの経験をしていると、その時の説明をコロナに応用すると思いますがそうでなければ結構難しいと考えています。
▼検査をせずに診断するときの諸々が面倒
今のところ、検査をせずに診断した場合は疑似症例扱いになりそうです。
で、通常の疑似症例は入院だけ届け出をすればよいのですが、みなしコロナの場合には全例届け出が必要なようです。
結局陽性患者のときと変わらないですね。。
勿論業務軽減のための措置ではないのですが。
ハイリスク患者は、中和抗体の適応ですが、それらをみなしコロナで運用できればいいですが、投与には抗原もしくはPCR陽性が必要、であれば、そういった方には結局検査をすることになります。
あと、「検査しないなら診断書下さい」という人も増えるかもしれません。
それらの手間を考えると、大抵の医者は全員検査しよう、と考えるかもなあと思っています。
まとめ
とはいえ、明らかに病歴からコロナが疑われる、若年の軽症患者に関しては検査無しで説明して診断してみようかなあ、なんて思っています。
ただ説明をしたうえで検査希望の人とケンカしてまでみなしコロナを診断しようとは思っていないです。
というわけで、「医師が診断すればコロナの検査をしなくても診断できる」はできるけど、意外と浸透しないと思う!
が私の意見です。
ではまた。
結論:みなしコロナとみなしごハッチは韻が踏めそうで踏めない