2022/03/24

投稿日 2022/03/24

【症例】胆嚢摘出術後に腹痛のある40歳女性

スミヨシです。


ブラックジャックの胆石


外来カンファで話題になった症例があったので紹介します。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

------------------------------------------
40歳女性

3か月前に胆石症に対して胆嚢摘出術
術後経過は良好だが、今も時折右季肋部痛がある
採血、造影CTでは異常所見なし

------------------------------------------


フレーズだけならどこかで見ることがあるかもしれませんが、意外と一般内科では見ないなあ、という症例です。








鑑別にあがったのは、胆嚢摘出後症候群です。




胆嚢摘出後症候群

(Oddi括約筋機能不全:sphincter of Oddi dysfunction)


胆嚢摘出後に器質的疾患がないが、胆石症様症状を来す疾患


胆嚢摘出後症候群(以下PCS)は、Oddi括約筋機能不全(以下SOD)の一つなので、まずはそれを学ぶ必要があるかもしれません。

ただ、正直あまりにもつまらないので、適宜飛ばしてください


分類

早期PCS:術後に起こるもの

後期PCS:術後数か月から数年で起こるもの


早期のものは胆嚢・胆管損傷、胆嚢管の遺残、総胆管結石などが原因

後期のものは、Oddi括約筋や総胆管の炎症性瘢痕狭窄、再発性結石、胆道運動障害など

(Br J Radiol.2010;83(988):351-61. )

胆管外の原因は(狭義の意味では鑑別疾患)、過敏性腸症候群、膵炎、膵臓腫瘍、肝炎、消化性潰瘍疾患、腸間膜虚血、憩室炎、または食道疾患などと、肋間神経炎、wound neuroma、冠動脈疾患、心身症などの腸外の原因とがある。


症状

SODのRomeⅣ基準を参考

まずは胆道痛かどうかを考える

そのうえで胆道SODの基準をみたすか考慮

(Gastroenterology. 2016;S0016-5085(16)00224-9. )


胆道痛:以下の基準をすべて満たす

・みぞおちor右上腹部痛

・30分以上続く

・さまざまな間隔で発生する再発症状(毎日ではない)

・痛みが増していく

・日常の妨げ、救急受診につながるほどひどい

・症状と排便とはあまり関係がない

・姿勢の変化やPPIで症状が大幅に(<20%)軽減されない

補助項目

・吐き気と嘔吐に伴う痛み

・背中および/または右肩甲骨下領域に広がる痛み

・患者を睡眠から目覚めさせる痛み


胆道SOD

・胆道痛の基準が満たされている

・胆管結石または他の構造異常の欠如

・肝酵素の上昇または胆管の拡張、ただし両方ではない

補助項目

・通常のアミラーゼ/リパーゼ

・オッディ括約筋内圧異常

・肝胆道系シンチグラフィー異常


治療

CCBもしくはウルソが考慮されるが確立されたものは無し

(Br J Clin Pharmacol.1992;33(5):477-85.)

(Gastrointest Endosc.2008;68(1):69-74.)

内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)も有効かも

(Gut. 2000;46(1):98-102. )


実際に対応するときには、まずは総胆管結石などないか確認、採血も行う

MRCPを行うか、胃カメラを行うか検討しつつ、状況によってはウルソ投与、でしょうか。


現場ではそこまでせずかもしれません。

症状によるかもしれませんね。


ではまた。


結論:ブラック・ジャックの純華飯店の話は、ヒューマニズムが大いにあって好きだが、実際にやると訴訟される