スミヨシです。
90歳女性、蜂窩織炎で入院
血液培養でGPC-chainが検出されたのでG群連鎖球菌でも生えるかな、と思っていたら培養結果はStreptococcus anginosusが検出
肺炎や口腔内感染がない、かは自信が無いがやはりフォーカスは蜂窩織炎かと思う。
札幌の師匠から、Streptococcus anginosusが検出されたときには膿瘍を探せと言われたものですが、どうしたものか。。
というわけでいわゆる「ミレリグループ」の連鎖球菌についてです。
Streptococcus anginosus group(milleri group)
S. anginosus, S.constellatus, S. intermediusからなる
他の連鎖球菌とくらべて毒性が強く膿瘍形成をする傾向がある
(Rev Infect Dis.1988;10(2):257-85. )
reviewを読んでみました。
この論文を選んだ理由は無料でみれる文献だったからです。。
(Sci Rep. 2020 ;10(1):9032.)
背景
中国 済寧市の2施設でのレビュー
3菌種(S. anginosus, S.constellatus, S. intermedius)で合計463人
固形腫瘍が30%
血液悪性腫瘍が2.9%
2型糖尿病が33%
中枢神経系疾患(脳梗塞、脳出血、脳外傷、重症筋無力症、またはパーキンソン病)が11%
男性が多い(男vs女=1.95:1)
93%が市中感染
463例の内訳、感染臓器
年齢別感染臓器
18歳未満では虫垂炎が多い。
高齢になるにつれて肺が多くなる。
皮膚軟部組織感染や口腔、扁桃はどの年代でも起こる。
膿瘍をどれくらい起こすか、は分からなかったので、違うレビューも探しました。
有料でしたがそういえば私の所属する福知山市立病院は論文のお金出してくれる病院であることを思い出したのでUpToDate®のInfections due to the Streptococcus anginosus (Streptococcus milleri) groupの元文献を見てみました。
ニューヨーク州の3次病院の単施設レビュー
(Am J Med Sci. 2017;354(3):257-261. )
332例
皮膚軟部組織感染は72%
70%が混合感染
腹腔内膿瘍は20%
治療は11%が抗菌薬単独療法だったが、残りは外科的介入(ドレナージ)があり
⇀重症患者を多くみている可能性があるが多くはドレナージが必要な膿瘍形成をしていたと考えられる。
まとめ
今回の症例では混合感染の証拠はなく、また、局所症状の消失とともにCRPも改善したために、2週間の抗菌薬で治療終了しました。
局所症状のある場合にはその部位の画像をとってもいいかもしれません。
また熱源不明患者の血液培養Streptococcus anginosus陽性とかは膿瘍探しをしてもいいかもしれません。
若年者は虫垂炎も念頭に置きたいですね。
ではまた。
結論:S.andagiはサーターアンダギーって言って沖縄のおいしいお菓子。
肺炎球菌尿中抗原について
周りで最近よく検査出されているのを見ますので、一回くらい勉強しとこうかな、と思いまとめました。