2022/03/17

投稿日 2022/03/17

内科入院患者のDVT予防(どうしたらいいかわからん)

スミヨシです。


先日の記事で、整形外科術後のDVT予防について調べました。



けど、僕、よく考えたら内科医になろうとしているので、内科入院患者のDVT予防をもう少し考えた方がいいんじゃないかと思うようになりました。


みなさん、内科入院患者のDVT予防はしておりますでしょうか?


DVTリスク評価

1番有名なものはPEDUAスコアだと思います。


PEDUA スコア(J Thromb Haemost.2010;8(11):2450-7.)

⇀4点以上で血栓高リスク

活動性のある癌
静脈血栓症の既往
活動性の低下
既知の血栓性素因
1か月以内の外傷や手術
70歳以上
心不全 or 呼吸不全
急性心筋梗塞 or 脳梗塞
急性感染症 or リウマチ性疾患 
肥満(BMI≥30)
ホルモン療法中
3点
3点
3点
3点
2点
1点
1点
1点
1点
1点
1点













これだけ素直にとると、高齢の寝たきりの肺炎なんかはそれだけで、

4点超えてDVT予防が必要、ということになります。

でも実際にこういう人に行うことはないのでは、とも思っています。


DVT治療におけるデメリット

当然、全員に抗血栓療法を行わないのは理由があって、デメリットがあるからです。

一番は出血リスクですよね。


DVT治療における出血リスク(Chest.2011;139(1):69-79. )

活動性の消化管出血
過去3か月以内の出血
血小板が5万/μL以下

85歳以上

PT-INR>1.5
腎不全(GFR<30以下)
ICU or CCU入院
中心静脈カテーテル
リウマチ性疾患
悪性腫瘍
男性

とくに上3つはハイリスクです。


で、さらにそもそも日本人は血栓リスクが欧米の患者に比べ低いです。

そいでもって、術後じゃない患者のDVT予防にはヘパリンカルシウム皮下注くらいしか投与できなくて正直面倒です。。


こんな理由で、日本の内科DVT予防はあまり皆積極的ではないですが、それでも血栓リスクが低いので、案外うまくいっているのかなあと思います。

あと、寝たきりの人のDVTは治療が必要か、と言われると難しいところですよね。

当然PEになるのは不幸ですが、知らない間に胃潰瘍、とかは目も当てられないですし。


いままで、ICU入院になるような患者はルーチンで投与してましたが、それ以外はあんまり、てな感じでした。

Covid-19が血栓リスクがあり、ヘパリン投与を行うようになって、こういうの考え直した次第です。


もう少しDVT既往がある方を拾い上げたり、離床に時間はかかるだろうが、社会復帰できそうな高齢者とか、ICU以外でもDVT予防を考慮できたらいいかもしれないですね。


というわけで、

・ICU入院患者で出血リスクの少ない患者

・PEDUA≧4点で、早期離床難しくて出血リスクの少ない患者

にはヘパリンカルシウム考慮ですかね

すでに抗血栓薬入っていたら除外でもいいかもです。


ただ、見逃しているだけかもしれませんが、本当に入院中にDVT/PEになってしまった、という経験は少ないので、日本人の血栓のできなさはすごいのかもしれませんが。


ではまた。


結論:1月20日は血栓予防の日でその理由が「20」が「つ・まる」でつまるだから、というのをきいて、つまらねー、と思ったが、つまらねーことは血栓予防にふさわしいからやっぱすごいと思いました。