スミヨシです。
昔、札幌の師匠に、
「末梢カテから昇圧剤は使用しないほうがいい」
と習ったことがあります。
初期研修のころでしたね。2016-7年あたり。
組織障害おこったり、キンク解除したときに一過性に想定以上の昇圧剤が流れ込むリスクがあるから、なんて説明でした。
一方で、最近は救急の先生とか割と末梢からいってるのをみるようになりましたし、このあたりの話は別に末梢から投与していい、で決着がついていると認識しています。
あるとき「ノルアドレナリンいくのにCVじゃなくていいの?」ということを看護師さんに聞かれてこの議論が懐かしくなりました。
ちょうどそのあたりのレビューを見つけたのでまとめてみました。
※追記
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37611862/
末梢静脈カテーテルによる昇圧剤投与について
(CMAJ.2022;194:E739)
まずもって、急ぐ場面ではとっとと末梢からノルアドレナリン投与したほうがよさそうです。
the Surviving Sepsis Campaign guideline2021では、以下のような記載です。
"44. For adults with septic shock, we suggest starting vasopressors peripherally to restore MAP rather than delaying initiation until a central venous access is secured."
(Intensive Care Med.2021;47:1181-1247. )
昇圧剤投与する場面でCV挿入を待たないで、という記載ですね。
有害事象
血管収縮薬を末梢投与した 16,055 人の患者のメタアナライシス
有害事象は1.8%
発生率はゲージ数や昇圧剤の種類、カテーテルの位置での有意差は無かった。
⇀CV挿入では気胸 (2.1%)、カテーテル関連血流感染 (0.5%–1.4%)、深部静脈血栓症 (0.5%–1.4%) の合併症があるため末梢における合併症比較してとCV挿入がベターとは言えないかも?
(Crit Care. 2021;25:146. )
ノルアドレナリン投与が6-12hを超えると組織障害が増悪する
(J Crit Care 2015;30:653.e9–17)
検索が甘かったかもしれませんが、CV vs 末梢での有害事象の比較はあんまり無さそうに思いました。
キンクどうのこうのの記載も見つけられませんでした。所詮耳学問ですし、そんなに気にしなくていいですかね。。
もうかれこれ3年以上CV入れてないですので、もううまくできる自信はないですね。。
救急で昇圧剤使う場面では末梢から投与、一晩粘るみたいなムーブにしてしまいがちです。でもそれで十分かもしれません。
多分今の若手にとっては当たり前なことだと思いますが、昔は昇圧剤投与₌CVだったと思うのでそのギャップが医師や看護師間で生まれないようにしたいですね。
ではまた。
結論:電子カルテが「抹消カルテ」と変換するの、電子カルテの自覚が無さ過ぎてむかつく。