スミヨシです。
セフトリアキソン、抗菌薬の中では正直抜群に使いやすいですよね。。
腎機能考えなくていいし、1日1回でいいし、腎機能考えなくていいし、だいたいの市中感染に立ち向かえるし。。
抗菌薬界の秘密兵器としか思えません。
無人島に一つ抗菌薬をもっていくならセフトリアキソンでしょう。
さて、そんなセフトリですが投与するときはどれくらいの量で使っていますでしょうか。
おそらく1回1gもしくは2gで使う人が多いと思います。
もしかすると1回1g 1日2回の人もいるかもしれません。
割と総合内科出身の先生は2gで使っているのをみますが、自分は今の施設ではだいたい1g/日で使用しています。
UpToDate®の腎盂腎炎治療も1g1回となっています。
もちろん髄膜炎は2g 2回ですが。
セフトリアキソン 1回1gでもいい、というデータもダメ、というデータもいくつかあります。
肺炎には1回1gでよいかも
Efficacy of Ceftriaxone 1 g daily Versus 2 g daily for The Treatment of Community-Acquired Pneumonia: A Systematic Review with Meta-Analysis
(Expert Rev Anti Infect Ther.2019;17:501-10)
市中肺炎に対するセフトリアキソンのRCTをいくつかあつめたメタアナライシス
セフトリアキソン1g24時間ごと/1g12時間ごと/2g24時間ごとのものが含まれている。
⇀セフトリアキソンを1日1gより多く使用しても臨床的アウトカムの改善はみられなかった。 (OR 1.02、95% CI [0.91–1.14])
1g versus 2 g daily intravenous ceftriaxone in the treatment of community onset pneumonia – a propensity score analysis of data from a Japanese multicenter registry
(BMC Infect Dis.2019;19:1079. )
市中肺炎に対するセフトリアキソン 1g vs 2g
治癒率:88.9% vs 91.5%
入院日数:18日 vs 26日
抗菌薬投与期間:7日 vs 8日
院内死亡率:7.9% vs 3.2%
いろんなバイアスはありそうですが、1g/日が2g/日に劣ってはいない。
APSG-J studyのCOP死亡率は11.5%でありそれに比べると低いため、集団がより健康であった可能性はあるとのこと。
1gの方が死亡率高く見えますが一応有意差はなし。
腸内細菌菌血症には2gのほうがいい?
Ceftriaxone 1 g Versus 2 g Daily for the Treatment of Enterobacterales Bacteremia: A Retrospective Cohort Study
臨床的失敗率:16.7% vs 9.6%
90日間感染再発率:11.1% vs 1.9%
低アルブミン血症が臨床的失敗率に関連
統計学的有意差は出なかったようだが1g投与群が臨床アウトカムが悪い傾向。
ICU入院患者には2gのほうがいい?
Comparison of Clinical Outcomes among Intensive Care Unit Patients Receiving One or Two Grams of Ceftriaxone Daily
(Antimicrob Agents Chemother.2020;64:e00066-20. )
ICU患者の非中枢神経感染でのセフトリアキソン 1g vs 2gの比較
治療失敗:17.0% vs 5.7%
低アルブミン血症群の治療失敗率:30.4% vs 9.7%
SOFAスコア高値群の治療失敗率:64.3% vs 22.2%
副作用の差は無し。
低アルブミン(2.5g/dl以下)、SOFAスコア10を超えた群、Ccr高値での治療失敗率が高かった。
セフトリアキソン高容量のリスク
・セフトリアキソン 2g/日以上でCa-CTRX沈殿が起きやすい
(Gastroenterology.1990;99:1772-8. )
・セフトリアキソン投与量、投与期間が長引く(とくに総投与量19gを超える)と偽胆石症のリスク上昇
(Intern Med. 2021;60:3857–64)
多けりゃいいというもんでもないですね。
胆石は避けたいところ。
まとめ
肺炎は多分1g 24時間ごとでよい
菌血症患者やICUには2g/dayがいいかもしれない
菌血症をセフトリアキソンで治療完遂することは、感染症だけ考えるとあまりない気も思います。
1日1回とか皮下注できるとか外来投与できるとかそういったことはあるかもしれませんが。
培養結果で薬剤変更をこころがけたいですね。
ではまた。
結論:1g 1日2回の人とは仲良くなれない