※この記事は2021年8月に書いたものです。
京都府福知山市というところで今働いています。
福知山市、とくに病院のあるところは、近くにスターバックスもあり、京都北部のみんなの憧れの街です。
そんな憧れの街ですが、自然豊かにも程があるので、〇〇咬傷シリーズが多いんですよね。
で、研修医も優秀な人がおおく、マダニ咬傷の患者が来た時に、抗菌薬どうすべきか聞かれました。
マダニ咬傷後のドキシサイクリンはライム病発症を抑制する。
Prophylaxis with Single-Dose Doxycycline for the Prevention of Lyme Disease after an Ixodes scapularis Tick Bite
(NEJM 2001; 345:79-84)
ライム病の多いニューヨーク州での研究。
マダニ咬傷後72時間以内に、ドキシサイクリン 200mg 単回投与を行う。
遊走性紅斑(ライム病)発生率の比較
投与群vsプラセボ群⇀0.4% vs 3.2%
副作用(嘔吐や悪心など)
投与群vsプラセボ群⇀30.1%vs11.1%
というわけで、噛まれてから72時間以内であれば、ライム病予防のためのドキシサイクリンは一考かと思います。
ただ、私が札幌で働いているときには割とこの話題はあがりましたが、他の地域では不要かもしれません。
そもそも、北海道以外はライム病発症リスクが少ないと思います。
ライム病を媒介するシェルツェマダニが寒いところに住んでいるからです。
(日本でも要注意 ライム病ってどんな病気?を参照しました)
ダニに噛まれた後のライム病発生率が3.6%を超えるなら、費用対効果上予防すべき、という古いデータもあります。
日本で発生率が何%なのかが言えればよかったのですが見つかりませんでした。。
(NEJM 1992; 327:534-1)
副作用を考えると、投与のメリットも乏しいです。北海道か、標高の高い寒いところでの症例以外は不要と思っています。
そういうわけでどこで噛まれたかといつ噛まれたかを聞いたら、SFTS発症の説明をして終了、となることが多いです。
研修医にもどや顔で説明しましたが、結論だけ早く言えよみたいな感じの顔をされました。
話長くてごめんよ!!!!!!!ではまた!!!!!
結論:誇張抜きで、隣町から1時間かけて来るくらい、福知山のスタバは京都北部の憧れらしい。