スミヨシです。
愛知県 知多半島でのエキノコックスの定着化が話題になっていますね。
ひとまず今のところはヒトの感染ではなく、野犬での複数のエキノコックスの検出、ですが、これがいつしか、忘れたころに感染症例が見つかるのでしょうか。
私は以前札幌で働いていましたが、そんなにcommon diseaseではないですね。
糞線虫を沖縄で働いていて、実際に診ることがあるか、と同じくらいかなあ、なんて思っています。
私自身はエキノコックスも糞線虫も治療歴のある患者をみたことはありますが、実際に診断・治療したことはないです。
でも、いるにはいますので、対応も学びました。
画像も、典型的なものはみたことがありますが、ぶっちゃけ難しいです。
いい機会ですので、エキノコックスについてまとめました。
主に、日本にいる、多包条虫について述べます。
寄生虫治療薬物の手引きなど参考にしてます。
寄生虫に困ったら、寄生虫治療薬物の手引きを調べたら全部解決するの!!!
一般内科医が、寄生虫の治療など勉強するのはメモリーの無駄遣いなのでやめた方がいいと思います。 それでも質問されてしょうがないので、さも知っているかのように、寄生虫薬物の手引きをさっと調べて答えています。
エキノコックス症
エキノコックス属(Echinococcus)の条虫が引き起こす蠕虫症。
ヒト-ヒト感染はなく、汚染された山菜、湧き水を摂取することで感染する。
4類感染症で、国内では毎年20例前後の報告があり、ほとんどが北海道での症例。
潜伏期間は5-15年
多包条虫(E. multilocularis)と単包条虫(E. granulosus)がある。
日本では多包条虫のみ分布している。
図:エキノコックスの感染経路(札幌市HPより)
症状
肝病変が緩徐に増大していく。
肝腫大に伴う上腹部の膨満・不快感, 肝障害、閉塞性黄疸を呈する。
肺に10%、脳、脾臓に1%で病変がある。
診断
エコー、CTで石灰化を伴う、充実性の嚢胞性病変を呈する。
血清診断はELISAで陽性ならWB法を行う。
北海道の時は道立衛生研究所に送ることになっていました。
なんなら、北海道在住の方は患者希望で検査することすらできてました。
(https://medpix.nlm.nih.gov/case?id=d47c0260-0f25-4b6f-846d-8c2cd40010fe)
治療
全例外科的切除
術後2年間、アルベンダゾール(エスカゾール®) 1回200mg 1日3回
28日間服薬⇀14日間休薬を繰り返す。
まあ、とにかく、むやみに野山に入らず、キツネや野犬に餌をあげず、沢水も飲まず、とするのがいいと思います。
今回まとめたことが無駄になることを祈ります。。
ではまた。。
結論:最近のきつねうどんはキツネの肉を使っていないらしい。