2022/08/28

投稿日 2022/08/28

アニサキス症に対するPSL+H1Bでの保存加療

スミヨシです。


前回、アニサキスのことを書きました。



でまあ、ふと自分が診てきたアニサキスの悩みって診断もそうですが、診断した後に対応がさらに困る場面があります。


夜救急受診

アニサキス症疑い、と判断

緊急内視鏡をするわけではなく、翌日外来紹介の方針


みたいなときに、一晩どう対応するかみたいなことです。

多くの場合はアセリオ®など対症療法でしのぐことになりそうですが、腹痛がとても強い時に何か保存的に診る方法があればなあ、と思い調べてみました。


大前提:アニサキス症の治療

基本的に、胃アニサキス症だろうが、腸アニサキスだろうが、内視鏡的除去が基本になるかと思います。

蕁麻疹などアナフィラキシー症状が出るようならば、アニサキスアレルギーとして対応がまず必要になります。

アニサキス症もアレルギーとかいう話があるので、アニサキス症とアニサキスアレルギーを明確にどこで分けるかは少し難しいかもです。

皮膚症状がでることや、アニサキスアレルギーは虫体そのもので症状が出る

→冷凍(-20℃24時間)や加熱(60℃1分)だけでは防げない

というところがミソでしょうか。

以下アニサキス症として記載します。


アニサキス症の保存加療

これも大前提でそもそも勧められるものではないかもしれません

その中でも記載が見受けられるのは、アルベンダゾールもしくはプレドニゾロンです。


アルベンダゾールに関してはUpTpDate®で

Albendazole for the treatment of anisakiasis ileus. 

(Clin Infect Dis. 2005;41:1825-6.)

Treatment of anisakiasis with albendazole. 

(Lancet. 2002;360:54.)

などが挙げられていました。


ただ、日本の医療機関でアルベンダゾールが採用されている施設があるのかが疑問です。
エキノコックスとかに使用する薬剤ですからね。
これは割愛します。



実際使用できるとすればステロイドでしょうか。



アニサキス症に対するプレドニゾロン+H1Blocker


Intestinal Anisakiasis Treated Successfully with Prednisolone and Olopatadine Hydrochloride
(Case Rep Gastroenterol. 2016; 10:30–5.)

ケースレポートです。

43歳女性
鯖の漬物を食べた後に腹痛
IgE抗体/IgG抗体ともに軽度上昇しており空腸壁肥厚などから腸アニサキス症が示唆された
兄も同時発症しており、内視鏡で虫体を確認された。
本人は入院・内視鏡を拒否し、外来での保存加療を希望

PSL5mg/dayを10日間+オロパタジン10mg/day 42日間で加療
⇀3日後から画像所見改善、2週後には腹部症状消失


というわけで、真の意味でアニサキス症だったかは不明ですが、もしかするとどうしても内視鏡ができない症例では選択肢にできるかもしれません。

アルベンダゾール+PSLというのもありましたがそれも割愛。


まとめ

アニサキス症をPSLとH1Bで保存加療できるかもしれない。
ただ疑問のセッティングとしては明日まで粘ることでしたね、、
困ったらソセゴン®やオピオイド使用でしょうか。
ある場面ではPSL+H1Bも選択肢かもしれない。

サバもイカもうまいもんね。
自分がアニサキス症になったら試してみます。
ではまた。


結論:アニサキス回避としても、単純な旨さとしても、サバは味噌煮を食べるべき