2022/08/15

投稿日 2022/08/15

【症例】25歳男性 親も同症状のある、幼少期から週1回起きていた左手関節痛

スミヨシです。

診断がついていないのですが、おそらくこれだろう、という症例に出会ったのでの紹介します。

まああくまで想像の域を超えないですが。。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

------------------------------------------
25歳男性

左手関節痛
小児期から週に1回程度の左手関節の激痛
右手関節のこともあったが、基本的には片側
発作は多い時には週に1回 痛みの長さはまちまちで12時間以内に消失
発作が出る前日には寝る前になんとなく違和感があった。
親が医療関係者であり、大学病院で精査するも異常がなかった。
母親も同症状があった。
学年があがるにつれ発作の頻度は減り、中学からは月1回程度、大学以降は年2-3回程度
最近はその発作が起きることはない。
-----------------------------------------------


知り合いに雑談程度に相談された症例です。
今は発作はない模様。

何となく聞き流していたのですが、内科学会雑誌に載っていた症例かもしれない、ということで調べてみました。








小児四肢疼痛発作症






上記四肢疼痛発作症ハンドブックより引用です。
かなり新しい疾患概念で、2016年に提唱されたばかりです。

SCN11A遺伝子変異、ナトリウムチャネル 1.9(Nav1.9)の障害でおこるよう。

症状

乳幼児期からの発作性の手足の痛み
胸腹部、背部など体幹には症状は出ない。
発作は数分から数十分持続したのちに一旦おさまり、また痛くなるといったサイクルを数回繰り返す(全員ではない)
発作は月に数回の頻度

発症時期

乳児期:夜泣き、不機嫌
1-2 歳ごろに言葉を話すようになってから気づかれることが多く、ほとんどは幼児期前半ごろまでに症状が出始める。

誘因

「天気の崩れる前」や「寒くなるとき」に発作が出ることが多い。
夏より冬のほうが痛みの頻度が多く、梅雨や台風のときにも痛みが出る。
また疲労や寝不足も発作の引き金となることもある。

疫学

今のところ日本に76家系(2020年8月)、そのうえで25家系が遺伝子検査で確定診断。
おそらくは常染色体優性遺伝。

検査

基本的に検査異常はなし
上記の遺伝子検査で1/3で陽性か。
秋田大学小児科HPから連絡するとよい。

治療

なし
温めると改善することが多いよう。
年齢があがるにつれ発作は消失する


なんとなーくあっていそうですよね。
何としても意見を聞きたい・・!!

そういうわけで、この症例はバカなふりをして直接秋田大学に連絡してみました。
本当にすごく丁寧に対応いただきました。
ありがとうございました。

結局それ以降の受診はすすんでいませんが、もしかするとこの病気なのかもしれません。
他の鑑別もあるのかもしれませんがこれ以上はつめられていません。

まあ、今後症例が集まると治療法なども生み出されるかもしれません。
よくわからない遺伝性・若年性・発作性の関節痛を診ることがあれば、この病気を思い出してみてください。

ではまた。


結論:秋田で一番おいしい食べ物は比内地鶏の親子丼