スミヨシです。
ふと昔の自作のスライドをみていると、面白い症例を診ていたなあと思います。
内容はひどいもんですけど。。
備忘録的に紹介しておきます。
地域医療で離島に行った際の症例です。
※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
------------------------------------------
いやはやどうしたもんだ、と思っていましたが、ふと札幌の師匠が
「単リンパ節炎をみたら、ペット飼育歴、動物暴露歴を聞きなさい」
と言っていたことを思い出しました。
今思えばその言葉に引っ張られすぎて、他の疾患の鑑別がなおざりになっていますね。
この方は独居ですが子猫を飼っており、引っかかれたり舐められたりは日常茶飯事だったようです。
傷口の膿などはありませんでしたが、猫ひっかき病かなあ、と思って対応しました。
猫ひっかき病(CSD:Cat Scratch Disease)
発熱+リンパ節腫脹を呈する疾患
猫によるひっかき傷などからBartonella henselaeによる感染が原因で起こる。
アメリカ(ネコ飼育数、国民一人あたり約0.25頭)における本症の年間発生率は0.77~0.88/100,000人
わが国(約0.07頭)でも症例は散見されるが、全国的な統計はない
(猫ひっかき病(動物由来感染症、その診断と対策,神山・山田編), pp190-195,真興交易医書出版, 2003)
発生は7月から増加、10月がピーク12月から減少
(日本感染症学雑誌 2010;84:92-5)
リスク因子
小児および若年者に多い。
子猫を飼っている、子猫に噛まれる、舐められる、引っかかれる、一緒に寝るなど。
ノミの多い子猫もリスク
(NEJM.1993;329:8-13. )
日本の猫とBartonella
(J Vet Med Sci.2000;62:273-9. )
症状
暴露してから3-10日くらいで皮膚症状
同側の局所リンパ節腫脹が1-2週間後に出現し数か月続く。
長期発熱も起こす
小児の研究では、
46%が上肢、腋窩のリンパ節腫脹
26%が首と顎のリンパ節腫脹
18%が鼠径部のリンパ節腫脹
10%が他領域(耳介前および耳介後、鎖骨など)
(Am J Dis Child. 1985;139(11):1124–1133.)
全身症状を起こすこともある。免疫不全患者などで多い。
Parinaud oculoglandular syndromeをはじめ、脳髄膜炎、骨髄炎、心内膜炎など。
(UpToDate®:Microbiology, epidemiology, clinical manifestations, and diagnosis of cat scratch disease)
診断
・血清抗体
IFA:単一血清でIgG 抗体≧512倍orIgM 抗体≧20倍
ペア血清でIgG 抗体が 4 倍以上の変動
EIA :IgG または IgM 抗体が 12EIA unit以上)
・検体PCR
いずれも自費になるかもしれないことに注意!
治療
AZM500mg 1回250mg/day 4日
日本だと500mg×3日でよいか
代替は
CAM 500mg 1日2回
RFP 300mg 1日2回
ST 1回2錠1日2回
CPFX 500mg 1日2回
いずれも10日間(サンフォードより)
重症例、とくに神経や眼症状のある人は
DOXY 100mg 1日2回+RFP 300mg 1日2回を4-6w
RFPだめならGM
PSL1mg/kg 2w⇀その後4wにわたって漸減
(UpToDate®:Treatment of cat scratch disease)
冒頭の人は、検査お金かかるのでできませんでした。。
AZM処方し、いつの間にか熱は下がり、痛みも引いていました。
自然寛解だったかもしれませんが僕は猫ひっかきを経験したことにしています。
まあ、僕自身は猫アレルギーなので猫ひっかき病になることはありませんが、子猫を飼うことになった人は注意してください。
ではまた。
結論:キティちゃんは1974年うまれなので、噛まれてもセーフ
ワルファリンと相性の悪いフルーツ
ワルファリンがビタミンKで効果減弱するのは周知だと思います。 ただ、効果増大する薬剤や食物もあります。