スミヨシです。
内科レベルの高い先生ってCTでの脾臓をよく見ているな、という印象があります。
脾腫だったり、忘れたころにやってくる脾臓摘出後の患者だったり、ルーチン化していないと見逃すこともあると思います。
この前カンファで、この人脾臓小さい?という議論になりました。
脾腫はなんとなく、見かけでわかるのですが、脾臓が小さいのって議論になるけど実際それが臨床的意義があるのもよくわからないなあ、なんて感じていました。
そんな中Twitterで、「ショックの際に脾臓は収縮する」ってのをつぶやいている人がいてマジかよと思い調べてみました。
ショック時の脾臓収縮について
通常の脾臓
米国のボランティア1230人の脾臓
長さ、前後径、幅、体積の中央値はそれぞれ、
10.9cm 4.5cm 6.5cm 166cm³
(Radiology.2016;279:306-13.)
CT measurement of splenic volume changes as a result of hypovolemic shock
(Jpn J Radiol.2015;33:645-9. )
日本での研究
脾損傷の無い出血性ショックの患者22人のショック時、回復時のCTによる脾臓体積の比較
ショックvs回復時
63cm³ vs 132cm³
60歳以下の方が60歳以上の群に比べて、より体積の変動が大きかった。(60歳以下の体積比vs60歳以上の体積比:2.34vs2.05)
Splenic contraction: a new memberof the hypovolemic shock complex
(Abdom Radiol (NY).2018;43:2375-83. )
71人のhypo volemic shock患者のCTをショック解除時または、対照群と脾臓の体積とエンハンスを比較
shock vs 対照群で
脾臓の体積
107±63 cm³ vs 220±154cm³
attenuation valueは105 ± 34 HU vs134 ± 25 HU
なぜ脾臓が収縮する?
脾臓は全血液量の20-30%を保持する。
そのため、血液量減少の際には、血管壁や脾臓の平滑筋が収縮し、赤血球や血小板が脾臓から「自己輸血」として供給される。
(National Institutes of Health (2016) SEER training modules:spleen. NIH.)
まとめ
shockの際、脾臓は収縮してうつる。
逆に、脾臓が小さい、と思ったときにはhypovolemicかもしれない。
以上です。ではまた。
結論:学生の時に、脾臓は「ひ」から始まるから「ひだり」にあるって覚えてて天才だと思っていましたが、他の人は語呂合わせとかしなくても覚えてて医者になるの無理かと思っていました。
黒色肝といえば?
この前、黒色肝が話題にあがりました。 なんか聞いたこともありそうなフレーズですが、ぜんっぜんなんにも鑑別挙がんねえなあ、って感じでした。 帰り道に、Googleで「黒色肝」と検索してみました。