2022/05/08

投稿日 2022/05/08

咽喉頭異常感症とかこそ、総合内科が輝ける疾患だと思う

スミヨシです。

京都に帰ってきてから少し時間が経ちました。
感染症の勉強もいいけど、たまに総合内科の勉強をすると楽しいもんで、自分はやはりこっちなのかと思います。

札幌の時は疾患概念をあまり知らなかったけど、福知山の時にああこれか、となった疾患をふと思い出しました。



※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。

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50歳女性

半年前からのどの違和感がある。
呑酸感はあるがいつもではない。
嚥下困難、咳、胸やけはなし
来院1か月前、インターネットでGERDかと思い上部内視鏡検査をしたが異常なしと言われた。
そのあと耳鼻科でも見てもらったが異常なし。

受付で相談するとわからないのでひとまず総合内科受診

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すでに精査されてるし何をすればいいんだ、となってしまうかもしれません。

説明を処方してあげたいところです。

以下の疾患を鑑別にあげました。



咽喉頭異常感症(globus hystericus)

ヒステリー球症候群ともいわれる。

のどの違和感、圧迫感という症状。

嚥下困難は通常伴わない。

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、咽喉頭腫瘍でも起こるようですが、それを除外したものを「真性咽喉頭異常感症」というらしいです。


診断

決まった診断は無く、除外診断

鑑別診断はUpToDate®によると以下の通り




以下を満たす必要あり

(Gastroenterology . 2016;150:1368-79)

▼身体診察、喉頭内視鏡検査または内視鏡検査で病変が確認されない、持続的または断続的で非疼痛性の喉の腫れまたは異物感を伴う

▼食事と食事の間にその感覚が生じる

▼嚥下障害または嚥下困難がないこと。

▼食道近位部に胃ろうがないこと。

▼GERDや好酸球性食道炎ではないこと

▼主な食道運動障害(アカラシア、esophagogastric junction outflow obstruction、遠位食道痙攣、jackhammer esophagus、蠕動運動の欠如)がないこと

▼診断の6ヶ月以上前に症状が出現し、過去3ヶ月間基準を満たしている


治療

UpToDate®より。

PPI 6-8週 GERDに準じて

PPIで改善しない場合やパニック障害やうつなどの合併例はイミプラミン25mgやアミトリプチリン25mgなどの抗うつ薬を使用

日本では半夏厚朴湯の使用も検討


実際のところ

実際にはLPRD(咽喉頭逆流症)を否定できないですよね。。

なので、個人的にはLPRDの対応をしつつ、半夏厚朴湯を処方しちゃいます。。


診断まで時間がかかる可能性を説明

上部内視鏡、喉頭内視鏡をしていただく

DISHや茎状突起過長症や甲状腺あたりはできれば画像評価

その間半夏厚朴湯を処方しておく

カフェイン、アルコール、チョコレートを減らしていただく。

あまり改善なければPPIを検討


なんて順番で治療と説明をしております。


あぶれがちな疾患ですが、消化器内科と耳鼻科の先生が悪いわけではないですので、こういった狭間の症例に関われてこそ総合内科かなあ、と思っています。

概念を知らない疾患を少しでも減らしていきたいものです。


冒頭の症例は半夏厚朴湯のみで改善しました。

ではまた。


結論:「梅核気」とかいうクソカッコいい言い方もあるぞ!!