スミヨシです。
研修医の時って皆色んなこと教えてくれますよね。
学年が上がるとその頻度は減ります。
適当なこと教えるわけにはいかないからでしょうか。
なるほど確かに、耳学問の中には本当にあっているのかどうか分からない耳学問もたくさんあったかとも思います。
限局性小腸浮腫の患者
研修医時代、限局性の小腸浮腫の患者がいて困っていたときに、たまたま通りかかった消化器内科の先生が
「これ●●か○○でしょ」
と呟いていただき正にその疾患だったことがあります。
※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。
IgA血管炎では14-36%が腹痛が皮疹より先に出る
(J Paediatr Child Health. 1998;34:405-9. )
というわけで、皮疹のないIgA血管炎の診断はムリゲーですが、もしかしたら変な小腸浮腫をみたら思い出せるかもしれません。
「IgA血管炎は小腸浮腫が特徴的」みたいな記載は見つけることができませんでしたが。。
多そうな雰囲気でしたけど。
あとこの症例血尿あるじゃんと後で気づいたのは秘密です(尿管結石かもとかで検査してた)。
アニサキスのCT所見
まあ上記疾患はいいとして。
アニサキスのCTはどんなでしょうか。
腸アニサキスのCT所見21例を集めたものでは、
・腸壁の限局性浮腫:100%
・腹水:100%
(Abdom Imaging. 2014; 39: 257–61.)
腸アニサキス=小腸浮腫+腹水
といっても怒られないかもしれません。
よくカンファとかでは聞きますね。
他の小腸浮腫を来す疾患
さて本題はここからです。
小腸限局性浮腫をみたときに、マジでIgA血管炎かアニサキスでいいのか。
調べてみました。
結論、そうとも限らん!になりそうです。
まず、みんな大好きKunimatsu's Listsを開いてみました。
でも、あまりそんな切り口は見つかりませんでした。
いろいろ小腸炎の鑑別だったり、小腸浮腫だったり調べましたが、まあ、多く出てきますね。
比較的メジャーなのは、クローン病、好酸球性腸炎、ループス腸炎、あたりはよくでてきます。
てか血管炎は何でもありな気はしてきました。よく考えたらIgA血管炎は血管炎じゃん。
アニサキスのこと調べていたら、「アニサキスによる小腸閉塞の鑑別疾患」というものはありました。
アニサキスによる小腸閉塞の鑑別疾患
・クローン病
・好酸球性腸炎
・術後癒着
・寄生虫 (Strongyloides, Ascaris, Toxocara, Ancylostoma)
・腫瘍(リンパ腫・平滑筋腫・平滑筋肉腫)
・感染(Yersinia 結核)
・腸重積
・肉芽腫性腸炎
・腸管虚血
「小腸の限局性浮腫みたらなんでもあり!無限の可能性あるから!!」
なんて言葉を吐いてもあまりメッセージ性は無いので
「小腸の限局性浮腫みたらアニサキスかIgA血管炎って僕はならったけど、クローン病とか好酸球性腸炎とか膠原病関連とかも考えた方がいいかもね^-^」
みたいな含みを持たせて限定しない言い方にしますね。
いやこれもメッセージ性ないですね。
結局何でもありを長い言葉にしただけですもんね。。
「血沈100越えの鑑別」とか偽痛風入ってるの見たことないですし。
AIUEO TIPSだってすべての疾患を網羅しているわけではない。
こういうのってメジャーなものが入っててキャッチ―なフレーズであれればだいたいOKなのでは。。
もしかするとそれも踏まえてあの時の上級医はメッセージを残してくれたのかもしれません。
わかりました。
僕もこれでいきます。
小腸の限局性浮腫はIgA血管炎かアニサキスでしょ(もちろん他にも沢山あるがそれは自分の力で見つけ出してくれよな!)
これで研修医の信頼を獲得していきます。
ではまた。
結論:この前救急でこれ教えたら普通にウイルス性腸炎で信頼が失墜した。
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