スミヨシです。
総合内科って病院によって求められていることが色々違うと思います。
福知山では糖尿病内科も含めて割とそろっていましたので、他科からは電解質や感染症のご相談が多かったです。
札幌の時は他科からDMコントロールを依頼されることもありました。
自分たちの世代くらいは、
「スライディングスケールは使用してはいけない」
っていうのを学生くらいからならっていた世代かと思います。
3年目の時に「スライディングは持効型と組み合わせたらよい」というのを参考書で読み、あまり元論文も読まないまま正直そのあたりどうだったか理解していないままそのまま使っています。
まずはここを調べてみました。
Randomized Study Comparing a Basal-Bolus With a Basal Plus Correction Insulin Regimen for the Hospital Management of Medical and Surgical Patients With Type 2 Diabetes: Basal Plus Trial
(Diabetes Care.2013;36:2169-74.)
2型糖尿病の患者で内科や外科で入院した患者のうち、血糖140-400を満たす患者
血糖降下薬や、インスリン(0.4U/Kg/day以下)を使用している患者も含まれる。
これらの血糖コントロールを以下の群に振り分け
・普通のスライディングスケール群
・basal-bolus regimen
0.5U/Kgの総インスリン投与量を計算(70歳以上、Cre2以上は0.3/U/Kg)
そのうち半分をグラルギン、残りをグルリジンで毎食前に投与
さらに測定時血糖140以上ならスライディングスケール分を追加
・basal plus regimen
0.25U/Kgのインスリンを計算(70歳以上、Cre2以上は0.15/U/Kg)
それをグラルギンとして投与+スライディング併用
平均血糖240以上or2回以上血糖240で失敗と判断
結果
basal bolusとbasal plusはおおよそ同等の血糖コントロール
スライディングスケールは治療失敗が多い
ただ、basal bolusとbasal plusは低血糖リスクあり(スライディングは途中で平均1.9日で治療失敗で中断されているので少なく見えるのだとは思うが。)
これだけで判断してはいませんが、実際basal bolusはミスも多く看護師の手間も多いので、basal plus(持効型+スライディング)が割と簡便でそれなりの血糖コントロールができるかなと感じています。
スライディングスケールは本当にダメ?
実際にはスライディングスケールは今も使用されています。
時効型って数日使うにしてもまるまる1本オーダーしなければならず、コスト的にはあまり優秀じゃないんですよね。
また、当直中に入院して、明日以降も自分でみる患者ならいいですが、翌日以降は自分で診ない患者となると、明日以降主治医に判断してもらって、糖尿病科に関わってもらうのが一番スムーズじゃないかなあと思うことも多々あります。
まあもちろん、デメリットも多いのですがスライディングスケールは本当に絶対使ってはいけないのでしょうか。
Inpatient Glycemic Control With Sliding Scale Insulin in Noncritical Patients With Type 2 Diabetes: Who Can Slide?
(J Hosp Med. 2021;16:462-8.)
2型糖尿病で入院した患者のカルテレビュー
25,813人の成人2型糖尿病患者のうち、スライディングスケールを受けた8,095人(31.4%)が対象
低血糖(70以下)を起こさず、平均血糖70-180で血糖コントロールを達成した患者の割合を集計
結果
入院時血糖値140 mg/dL未満:86%
40-180 mg/dLの患者:83%
入院時血糖値250 mg/dL以上:18%
⇀入院時血糖180以下ならスライディングスケールも安全に使用できるかもしれない。
実際に180以下で入院する人は少ないかもしれないですが、ルーチンで時効型インスリンを出さなくてもいいかも、というのは頭の片隅にあってもいいかもしれません。
ではまた。
結論:今の若い医者は知らない、「インスリン・オブ・ジョイトイ」というギャグがあるぞ!
【PG?BG?BS?】血漿血糖と血清血糖の違いは?
大きな医療事故にはつながらないとは思いますが、血清血糖は忘れて結構、と返事しました。