先日、乳輪下膿瘍のコンサルがあり、培養からFinegoldia magnaが検出されていました。
口腔内の嫌気性菌であり、患者の年齢も若かったので、
ヒト咬傷(というかsexによる影響)⇀膿瘍形成
っていうのを考えました。
ただ、後日チームのスタッフから、
乳房膿瘍の起因菌で結構Finegoldia magnaは多い
という話を教えてもらいました。
乳房膿瘍の起因菌
通常の乳房膿瘍(A)と再発性乳房膿瘍(B)の患者における微生物パターン。
一般の起因菌としてはS. aureusが多い
(World J Surg. 2009;33:2582-6. )
乳房膿瘍の嫌気性菌はFinegoldia magnaが多い
(Antibiotics (Basel). 2020; 9: 341.)
乳房膿瘍からの検出された35検体の嫌気性菌の統計
単純感染が14株 混合感染が21株
実際の培養のしやすさ、検出のしやすさもあるので一概に多い、といってはいけないかもしれませんが、珍しくはないようです。
まとめ
S. aureusが多いのは感覚的に納得しやすいです。
皮下膿瘍みたいなもんですし。
嫌気性菌に関してなぜこの菌が多い、みたいな考察は無く、まあ他人の口腔内細菌が多いか少ないかはわかりませんでした。
まあ、実臨床ではドレナージを踏まえたうえで、MSSAと嫌気性菌をカバーできる抗菌薬を選択していればよいかと思います。
CLDMもいいですが、上記論文では耐性が結構あったので、ABPC/SBTとか、AMPC/CVAでの治療がよさそうですね。
ではまた。
結論:実際に患者に「パートナーによく噛まれますか?」とか聞けない
尿培養から嫌気性菌が検出されたとき考えること
専門医をとらずにふらふら内科をしている私が、医学ガチ勢を目指すブログです。