2022/08/05

投稿日 2022/08/05

サル痘ガチ勢を目指して

スミヨシです。



図1.げっ歯類であるプレーリードッグさん


欧米を中心にサル痘が流行、日本でも2例のサル痘が報告されています。

サル痘“2人目感染者の接触者1人特定 拡大可能性は低” 東京都


わが京都でもコロナ流行の裏で、

「渡航歴のある皮疹はサル痘」

みたく、紹介される雰囲気が漂っています。


最近デング熱がちらほら出ており、そろそろサル痘も勉強せねば、という時にNEJMからサル痘の症例まとめが出ていました。


Monkeypox Virus Infection in Humans across 16 Countries — April–June 2022

(NEJM.2022 Jul 21. doi: 10.1056/NEJMoa2207323. )


2022/4/27-6/24の16か国528例のまとめ


疫学

平均年齢38歳

女性の感染者無し(Trans or nonbinary 1例)

98%がHomosexul or Bisexual

感染経路の95%が性交渉

潜伏期は中央値7日(3-20日)

41%がHIV感染者(多くはARTを受けており、コントロールされているため、HIVそのものが流行のリスク、というわけではなく、HIV感染の経路と今回流行しているサル痘感染の経路が似ているということだと思います。)


症状

皮疹(95%)

-肛門・生殖器 73% 体幹・四肢 55% 顔 25% 手掌・足裏 10%

皮疹は固く、協会明瞭、痛みを伴う、umbilication(中央のくぼみ)

発熱(62%)

リンパ節腫脹(56%)

無気力・疲労(41%)

筋肉痛(31%)

咽頭炎(21%)

頭痛(21%)

直腸炎/肛門の痛み(14%)

気分の落ち込み(10%)


図2.皮疹


死亡例は無かったが、心筋炎や喉頭蓋炎がいたらしい。


対策

実際目の前にきたらどうしようかな、と悩んでいます。

最大の鑑別は天然痘でしょうがそれはないものとして。


基本的には水痘・麻疹とついでに風疹・帯状疱疹を考えつつ、梅毒とHIVはセットで検査、と考えております(梅毒・HIVに関しては今回流行しているコミュニティ多いとも考えられるから)

局所しか皮疹がなければ淋菌やクラミジアもとりますかね。

ヘルペス、HPVなどはどうするか難しいですね。

水痘の診断がつけばサル痘はある程度除外できるかもしれませんが、HIVやRPRが陽性の場合は単なる共感染のこともあるでしょうから注意ですね。


水痘は時相の違う水疱ができますが、サル痘は均一な水痘ができるようです。


MSMそのものがリスクというわけではなく、現段階で罹患者と皮膚接触が多い集団という認識です。


サル痘自体は接触予防・飛沫予防でよいのかもしれませんが、水痘や麻疹が鑑別にあがることや、NIIDの推奨からは空気感染での対応を想定しています。

あとは保健所案件になって水疱内容物と、もしかすると血液のPCR提出ですかね。


2020年1月の札幌で、武漢から来た旅行者が肺炎像あったときの病院がざわついたときをなんとなく思い出します。

サル痘疑いの患者が来ても冷静に対応できるようにしたいですね。


ではまた。


結論:サルには悪いけど、正直、プレーリードッグ痘じゃなくていろいろよかったとは思う。