スミヨシです。
ふらつきを主訴に来院した高齢者、頭部CTで以下のような初見
慢性硬膜下血腫かと思い脳外科コンサルト。
⇀これは硬膜下水腫なので経過観察を!と指示される
こういう流れ、よくあると思います。
血腫か水腫かを微妙な症例をどう見極める、とかは、正直脳外科の先生以外は困らないかと思います。
非脳外科医は脳外科医に相談するだけですもん。
ただ、経過観察を指示されたときに、腎嚢胞や肝嚢胞と同じように、経過観察しててよいのか、それとも実は何かすべきことがあるのか、調べてみました。
硬膜下水腫(subdural hygroma)
硬膜下に、血液を含まない脳脊髄液が貯留することでできる
発症の原因
外傷後が多く、closed head injuriesのおよそ5-20%に生じる
(J Emerg Med.2004;27(4):361-6. )
その他、術後、シャント留置後、感染後の乳児などにも発生しうる。
症状
多くは無症状
頭痛や意識変容、嘔気など起こしうるがよくわかっていなさそう。
一部は硬膜下血腫に移行する。
血腫移行リスクは、
・両側硬膜下水腫
・水腫≻11.37mm
(Br J Neurosurg.2021;35(1):1-6. )
治療
保存療法
意識レベル悪化があれば手術を検討、なんて書いてあるが実際にどうするかは脳外科医の判断か。
(参考にしていいかわからないが、Open Journal of Modern Neurosurgery.2019;9:208-220では外科的治療が有利だが意識レベルに異常が無ければ保存的加療がいい、みたいな記載はあり)
日本では、五苓散が使用されていることもありそう。
おそらく慢性硬膜下血腫に対する使用を流用している?
(Integr Med Res.2019;8(1):26-30. )
まとめ
基本保存療法でいいけど、慢性硬膜下血腫の移行には注意
移行しやすいのは両側のもの、11mmをこえるもの
五苓散など使用してもいいかもだけど効果は不明
こんな感じでまあ、硬膜下血腫移行には注意ですかね。
ではまた。
結論:肺水腫以外の水腫はだいたい無害
【症例】65歳男性 急な記憶障害
専門医をとらずにふらふら内科をしている私が、医学ガチ勢を目指すブログです。