2022/10/16

投稿日 2022/10/16

【症例】76歳女性 急性のふるえ

スミヨシです。

最近、研修医の勉強法をレクチャーする機会がありました。
それで、自分の研修医時代のスライドを見直す機会があったのですがまあ見るに堪えない内容でした。。

ただ昔の自分が面白い疾患に触れていたので、紹介します。


※症例は実際の症例を参考にデータや背景変更してます。




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76歳女性


来院12時間前に、急性のふるえ
就寝はできた。
起床時に再発し、時間外外来受診

問診は?対応は?
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毎朝研修医でカンファをしていて、その時に出した症例ですね。
懐かしい。


セッティングとしては、神経内科のいない病院で、なおかつ救急外来。
自分が研修医2年目のときの症例で、1年目の先生に相談をうけてどうしようという場面です。

本人はとにかく元気で、震えだけがある。
わからないなりに診ていくと両手の羽ばたき振戦があって自分の意思で止められない。
悪寒戦慄ではなく、熱も無い。
他の神経学的異常は無し。
生活や薬剤も特にいつもと変わりなし。

採血や、頭部CT、MRIも異常無し

で、カンファは疾患の答えよりもこういう症例でどんな鑑別で何を除外していくか、ってのを中心にやりました。
実際にはどうしたかというと、多分いますぐどうこうする疾患では無いな、と思いつつ、自院の内科外来に紹介してもどうにもならなそうなので、他院神経内科に紹介しました。


後日、その病院からそれはそれは丁寧な返事をいただき、アドバイスもいただきました。
他院の研修医にむけてこんなにいろいろと教えてくださるとは本当に今思ってもいい施設だ。。

返事の内容は

おそらくTransient myoclonus state with asterexisで、現在は改善しました

とのことでした。


Transient myoclonic state with asterixis

日本語では「一過性身震い様不随意運動」とか言うそうです。

ここでは以下TMA


症状

高齢者に突然発症する頸部や四肢のmyoclonusasterixis

基本的には良性で一過性。

眼球運動正常で意識障害を伴わない、脳波でてんかん波を示さない、他の神経障害を来さない、など特徴あり

(J Neurol Sci.1992;109:132-9.)

治療:クロナゼパムなど

具体的な量はわかりません、というか何を投与するかも含めて定まってないと思いますが、紹介先ではクロナゼパム 1回1mg 1日2回 4日間で治療していました。

たぶんジアゼパムでもよい。


実際の対応としては代謝性脳症や頭部疾患、感染症の否定になるでしょうか。

asterixisを起こす原因を消していくのもいいかもしれません。

慣れると検査なしで一撃診断なのかもしれませんが自分は採血と頭部CTはすると思います。MRIはまあ、余裕があればか。。


参照:asterixisを起こす原因

(Pract Neurol.2017;17:60-2.)


知ってると役に立つけど知らないとどうにもならないシリーズの一つだと思います。

自分は初期研修で出会って以来診てないですが、救急で診る事もあるでしょうから備えておきたいです。

ではまた。


結論:以下TMAって書いたけど以下一回も使わず終わった