スミヨシです。
胆管炎を繰り返す患者さんは一定数出会います。
抗菌薬を投与すると改善するけど、退院してしばらく経つとまた胆管炎を起こす方をなんとかできないかなあ、なんて思うこともあります。
乳頭切開術とかできればある程度抑制できるかもしれないですが、全員にするわけにはいかないと思います。
再発性胆管炎に対する内服予防抗菌薬をしらべてみました。
Successful Treatment of Recurrent Cholangitis with Antibiotic Maintenance Therapy
(European Journal of Clinical Microbiology and Infectious Diseases.1994;13:662–5)
肝切除など行われ、再発性胆管炎があった14例の患者
予防的抗菌薬3か月以上使用したら、6例は再発なし、5例は再発頻度減少。
使用抗菌薬はST合剤、シプロフロキサシン、アモキシシリン
この分野のデータでは古いものかと思います。
suvival monthが21か月と短いので、今の医学に照らし合わせることができるかは不明です。
The role of ciprofloxacin in prolonging polyethylene biliary stent patency: a multicenter, double-blinded effectiveness study
(J Gastrointest Surg.2005;9:481-8. )
カナダの多施設の研究
悪性腫瘍による閉塞に対しステント留置された94人が対象
シプロフロキサシン 1回500mg1日2回 vsプラセボ
ステント閉塞
投与群 33%(14/44) vs プラセボ 49%(23/50)
有意差は無かった。
胆管炎
投与群 23%(10/44) vs プラセボ 42%(21/50)
死亡アウトカム
生存日数の中央値比較
投与群 140日 vs プラセボ 126日
ハードアウトカムの改善は無いが胆嚢炎は減らすことができる。
また1か月後のSocial Functioning(SF-36)も抗菌薬投与群がうわまわった。
そもそも末期がんと思われる患者が対象なので、生存日数はあまり差がありませんが胆管炎が減らせるのは入院を減らして自宅過ごす時間が多い、という意味では有利かもしれません。
そもそも予後の長い患者で有用かは不明です。
耐性菌が選択されて治療に難渋することも考えられるので、一般化するには難しいですね。
個人的には処方してないですが、投与するなら飲みやすさからLVFXにするかもしれません。
なかなか予防抗菌薬で感染を抑え込むのは難しいかもしれませんが、予後が短い患者には一考ですかね。
ではまた。
結論:胆管炎のことを胆道炎っていう奴が、脳外科に脳卒中とコンサルするのは怒ってるのは少し不合理を感じている