2022/10/26

投稿日 2022/10/26

北海道のListeriaは〇〇が理由でABPC耐性が多い?

スミヨシです。

最近、臨床では出会っていないのにListeria monocytogenesのことばかり考えています。

実は先日札幌の古巣に行ってきました。

研修医向けの講義をするという名目で、自分の原点を見たいなあ、と思いながら一日総合診療科で過ごさせていただきました。


さて、札幌を出てから気づいたこととして、北海道はやはりListeriaによる髄膜炎とか菌血症が多い、と思っています。
今回行った時にも改めてそう思いました。

それでさらに言うとListeriaのABPC耐性の頻度も多いのでは、と思っています。
MIC 1くらいはざらです!

数字とか全然ないんですけどね!!
感触的にです!!!
すみません!!


Listeriaの感染経路


Listeriaがどこに多いかといわれると、やはり肉・チーズでしょう。
酪農関係の仕事が多く、それら商品が気軽に手に入るのは北海道のよいところなのですがね。。

国内のリステリアの集団感染は北海道のナチュラルチーズが原因とされているようです。


北海道のListeriaは牛への抗菌薬使用が理由でABPC耐性が多い?

さて、大前提として。
N数が多いと仮定するならその分耐性菌をみる可能性が高いだけ、とは思っています。

ただ、一度私の師匠が面白いことをいっていました。

「牛の乳房炎で結構抗菌薬投与されているから耐性多いのかもしれないね」

なんと。
なんだそれは。

確かに先の震災・停電で実は北海道の牛たちは乳房炎に悩まされたケースが多かったです。

まあ、面白いんですが、乳房炎って抗菌薬いくのかな?


乳房炎に対する抗菌薬


牛乳房炎抗菌剤治療ハンドブック」なるものが厚生労働省から出ています。
普通に培養とって抗菌薬行くみたいですね。




乳房炎に対する抗菌薬の使用状況のようです。
MSSA意識でCEZが多いですが、ペニシリンも結構使っていますね。


乳房炎のことについていろいろ載っています。
医者でもできない適正使用を農家の方たちはがんばっているようです。


ABPCが使用できない場面でのListeriaの治療

じゃあABPC耐性のListeriaに出会ったらどうするか。。

ABPCが使用できないときはST合剤
それもだめならMEPMを使用するでしょうか。
自分はMEPMを使用したことはありません。
北海道にいると常識ですね!!
(UpToDate®:"Treatment and prevention of Listeria monocytogenes infection")

Mandellも大体同じですね。
上記が無理ならVCMとかも考慮でしょうか。

髄膜炎を想定していますのでST合剤の用量はニューモシスチス肺炎の時くらい使います。
髄膜炎が無ければ通常量でよいのかもしれません。

まとめ

北海道の乳牛は乳房炎の治療をしている→Listeriaに耐性が多いかも
というのはさすがに関与があるかは不明です。。
しかし耐性だったりアレルギーだったりでABPC以外でListeriaの治療をしなくてはいけない場面がままあります。

北海道で内科をするなら、「Listeriaの第2選択はST合剤」を覚えておくと役に立つかもしれません。

ではまた。

結論:北海道の酪農関連の食物はほんとうにおいしい