自分のセッティングだと1-2年に1回くらい、特発性縦隔気腫をみる印象です。
Covid-19でも縦隔気腫を見ることがたまーにありますかね。
もはやそれは特発性じゃないですけど。
(Acad Radiol. 2021;28:1586–98.)
福知山でまとめていたのですが途中になっていたので改めて。
特発性縦隔気腫
(J Thorac Dis. 2015;7:1817-24. )
(Am J Emerg Med.2017;35:1150-3. )
(Asian Cardiovasc Thorac Ann.2014;22:997-1002.)
(consultant360.2012;11(2))
何らかの原因で肺胞破裂⇀縦隔に空気が入った状態
外傷性もしくは非外傷性にわける。
いわゆる特発性縦隔気腫は非外傷性(とはいえほとんどは何かがきっかけで内圧上昇が起こっているのだとは思う)。
疫学
おおよそ7-8割が男性
年齢は若年者に多く、10代後半から20代前半でピーク(小児のぞく)
原因
咳(喘息ふくむ)、嘔吐、運動、管楽器の演奏、分娩などいわゆるバルサルバ手技にあたるものが誘因となる。
過換気やスキューバダイビングもリスク因子
でも最多(30-50%)は原因不明
当然二次性に注意で、特に腹痛の有る場合や40歳以上、胸水や発熱を伴う、腹部圧痛、低血圧などがある場合などは食道破裂を念頭に置く。
(J Am Coll Surg. 2014;219:713-7.)
(UpToDate®"pontaneous pneumomediastinum in children and adolescents")
症状
UpToDate®("pontaneous pneumomediastinum in children and adolescents")では
・胸痛 55%
・呼吸困難 40%
・咳 32%
・頸部痛 17%
・嚥下時痛 14%
・嚥下障害 10%
頸部など握雪感があるか確かめるといいかもしれません。
Hamman's sign
縦隔気腫の人で、心拍に一致したトントントンっという音。
前胸部・左側臥位で聞こえやすい。
心音聞こうとしたら、あ、これHamman'sじゃんってなるけど場所変えると聞こえなくなって心音だったんかい、ってなるときもある。
でもちゃんと聞くと音が全然ちがう。
検査
胸部レントゲンで。個人的にはCT。
UpToDate®では肺疾患の無い患者にはCTは適応ないと書いてますが、救急のセッティングでは誰もが症状の範囲を共有できて、気胸や胸水の評価もできるCTを撮らない理由は少ないと思っています。
治療
保存療法。
予防的抗菌薬で縦隔炎を防ぐ、という試みもあるが、決まったものは無いし、研究によって抗菌薬いっていたりいってなかったり様々。
その他
明確な基準は無いが、飛行機はXRの改善から2週間経ってから
スキューバダイビングは原則禁忌
まとめ
若干snap diagonosis感のある疾患だとは思います。
多くの場合、若年男性で縦隔気腫を疑う場合は、気胸を疑う場合と同じだと思うので、気胸を疑ったときに、縦隔気腫も無いか割と本気で確認するクセを習得する、のがよいですかね。
保存療法で、抗菌薬は個人的には不要です。
ではまた。
結論:握雪感って、沖縄とか雪の無い国の人には難しいかもしれないから別の表現を探すと、"rice crispy"という表現が使われるようですが、正直rice crispyの方が馴染みがないのでこれからも握雪感でいきます