スミヨシです。
採血は貧血の原因にもなるし、侵襲もあるので、自分の不安のために何回も採血とかやめなさい、と昔習ったことがあります。
実際採血を頻回にするのはよくない、というメッセージは重要ですが、頻回採血程度で貧血なんて起こすの?というのも思うところがありますので調べてみました。
Blood loss from laboratory tests
(Clin Chem.2003;49:1651-5. )
入院患者 2654人の採血回数と量を調べた研究
入院日数は平均9.5日、中央値7日
95%が196ml未満の採血量(≒80mlのRBC喪失)
それらを超えた採血をされているのはすべて集中治療室の患者
Hb値の推移などはデータ無し
一般病棟での採血量はたかがしれている、という一つの参考値にはなるのかもしれません。
なんとなく感じたのは、献血が200ml or 400mlですので、1週間入院しても献血より採血量すくない、というのはどこかで使えるかもしれません。
Blood sampling as a cause of anemia in a general ICU - a pilot study
(Rom J Anaesth Intensive Care.2015;22:13-6.)
ICUに入院した35人(血胸、血腫、脳出血、硬膜外・硬膜下血腫、消化管出血、透析など出血に関わる入院は除外)
・入院時Hb平均値は11.3g/dL、退院時の平均値は10.1g/dL
・血液検査:3.8回/日
・採血量:18.1ml/日
・ICU滞在日数 9.7日(すべて平均)
・入院時と退院時のHbの平均値の差は、全体的な死亡率と相関
直感ではわかりにくいのですが、1日あたりの採血量と1日あたりの採血回数の両方が平均Hb濃度の低下と相関していた、とのこと。
採血1 ml ごとに、Hb濃度は 0.12 g/dL 低下と記載(ここの表現は自分が理解できていません)。
採血だけがHb低下に関与したかはわかりませんが、採血をすればHbが落ちるというデータには見えます。
Do blood tests cause anemia in hospitalized patients? The effect of diagnostic phlebotomy on hemoglobin and hematocrit levels
(J Gen Intern Med.2005;20:520-4. )
一般内科での404の入院イベント(患者数381)での分析
・採血の平均量は74.6±52.1ml
・入院時と退院時のHbはそれぞれ12.56g/dlと11.76g/dl
⇀入院中の100mlの採血で、Hb 0.7g/dlの減少と、Ht 1.9%の減少がみられる計算となる。
また、入院中 56例(13.9%)が鉄指数や便潜血など貧血精査が行われた。そのうち11例は入院時に貧血ではなく、貧血を引き起こす状態での入院ではなかった、とのこと。
これも採血だけが問題ではないとは思いますがプラスアルファの要素にはなりうるのかもしれません。
まとめ
採血は一般病棟、ICUでもある程度Hb低下の原因になるかもしれない。
もともと貧血のある患者などはもしかすると上記データとは異なるかもしれないので注意。
そこまでビッグデータがあるわけではないですが、頻回採血を躊躇する理由の一つとして知っておくといいかもしれません。
ではまた。
結論:この前血液培養を採られましたが40mlとか採りすぎで気分悪くなるので皆やめた方がいい